ガス切断は、厚みのある鋼板を溶断する際によく使われている切断方法です。切断といっても化学反応を利用しており、溶かしながら金属を切り離します。
高温度の溶解鉄や可燃性ガスを使用するため、扱いには細心の注意を払って運用しなくてはなりません。
そこで、この記事ではガス切断の基礎知識や扱う上での注意点、自動化を踏まえたガス切断機について解説しています。
また最後に工程の自動化や機器の導入に関する相談先を紹介していますので、導入をお考えの際はぜひ参考にしてください。
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1.酸化燃焼を利用したガス切断とは?特徴や仕組みについて解説!
ガス切断は歴史があり、100年以上も前から使われている信頼のある切断方法です。また特徴や仕組みについても、身の回りで起きる「酸化・燃焼」の反応を利用しています。
そのため導入時は複雑な設備を整える必要がなく、小さい規模から始められるのが利点です。
(1)ガス切断とは
ガス切断とは、ガスを利用して金属を切断する方法です。燃焼には主にアセチレンガスが使われています。1900年代から切断時に使われる酸素の供給が可能となったため、非常に歴史がある切断方法です。
現在ではガス切断のほか、プラズマ切断やレーザ切断といった新しい切断方法も実用化されています。
しかしガス切断は電気を利用しなかったり、導入機材が少なかったりとコスト面で導入がしやすいのが魅力です。さらにガスを利用した金属切断はある程度の厚みにも対応しやすく、最新の切断技術にも負けないメリットがあります。
現在でも導入のしやすさや扱える材料の関係で、積極的にガス切断を取り入れている企業があるほどです。
(2)ガス切断の原理・仕組み
ガス切断は電気を使わず、ガスを利用した化学反応で金属を切断しています。
- アセチレンガスを着火させてバーナー状態にする
- バーナーで鉄を発火温度まで熱する
- 発火温度に到達した鉄へ酸素ガスを吹きかける
- 強力な酸化反応が発生し、鉄が溶ける
- 吹きかけられた酸素が溶解した鉄を吹き飛ばす
原理としては、鉄が溶けるほどの強い燃焼反応を意図的に起こし、切断へ利用しています。
そのためには鋼板表面を、発火温度である900℃近くまで熱さなくてはなりません。
発火温度に至れば、高純度の酸素を吹き付けるだけで強い酸化・燃焼が発生します。急激な酸化反応により鋼板の温度はさらに上昇し、やがて鉄の融点に到達して自ら溶けていく、という仕組みです。
(3)ガス切断のメリットと特徴
ガス切断は必要になる機材が少ないため、小さな規模でスタートできるのが利点です。
- トーチ
- 酸素ボンベ
- アセチレンボンベ
- 圧力調整器
- それぞれを接続するホース
上記の機材があればすぐにでもガス切断が可能になり、コストも大きくかかりません。機材の点数が少ないのでメンテナンスの手間もかからず、導入から運用まで非常に扱いやすいのもメリットです。
またガス切断は、曲線や円形といった自由な形状にも対応しています。
上記動画のように、熟練者であれば漢字のような複雑な形状も切り抜きも可能です。
2.ガス切断機を導入したい!運用するときや使用する上での注意点とは?
ガス切断機を導入する際は、可燃性のガスを使うので安全に十分配慮しなくてはなりません。またガス溶接・切断に関わらず、使用には資格も必要です。
注意点を踏まえた上で正しく運用し、事故を防いで質の高い作業を心がけてください。
(1)手作業の場合は使用者の熟練度が重要
ガス切断は原理こそシンプルなものの、調整を見誤ると切断面が荒くなりがちです。また火力調整や切断時のスピードも重要で、作業に対する熟練度が仕上がりに大きく影響します。
実際にガス切断を行う際は、下記の調整が必要です。
- 鋼板の厚みに応じて火力・作業スピードを調整する
- 正確にカットする際は手ブレがないよう固定する
自動で調整できるガス切断機を導入しても、細かいカットに対応できない場合があります。その際には熟練の技術者が作業しなければいけない場面もあるため、使用者の熟練度は必要です。
(2)ガス切断機を扱う上での注意点
ガス切断機を扱う上で、いくつかの注意点があります。
まず安全確認は必須です。作業者は自身の服装がガス切断に適したものか確認し、周囲に燃えやすいものがないか確認しましょう。
またガスは非常に燃焼しやすく、一歩間違えれば事故につながります。
ガス漏れがないか確認しつつ、高温になる機器の側にガスボンベを置かないよう配慮してください。また、アセチレンガスボンベの中は液体ガスなので、横に寝かせて使わないよう注意が必要です。
可燃性のガスや高温の火を使う関係上、危険物を扱っている意識がなくてはなりません。事故を起こさないよう、入念な確認と安全意識で正しい運用を心がけましょう。
(3)ガス切断で必要な資格について
ガス切断を行う際は、「ガス溶接技能者」が必要です。資格名が溶接とついていますが、切断も溶接も区別はしていません。
ガス溶接技能者は、指定の技能講習(学科1日、技能2日)を受けたあと、学科試験に合格してガス溶接技能講習修了証が交付されればなることができます。(テキスト代込でおよそ15,000円ほど)
またステップアップ資格として「ガス溶接作業主任者」もあります。こちらはガス溶接の実務経験が3年以上必要です。
3.ガス切断機はどんなところで使われている?導入事例を3つご紹介
ガス切断は電力を使用しなかったり、厚い鋼板の切断にも対応していたりとメリットが多くあります。使用する環境次第では、プラズマ切断機やレーザ切断機よりも導入しやすい切断方法といえるでしょう。
この項目では具体的な導入事例を集め、どのような環境で活用しているかをご紹介します。
(1)電力使用が難しい屋外での工事現場にて使用
大きさのある機械メンテナンスを請け負っている企業では、屋外や移動しながらの溶接・切断が主な業務となっています。
安定した電力確保を行うには発電機の導入や、新たに電力が供給できるインフラの整備が必要です。
しかしある企業では、費用対効果を算出したところ、あまり費用に見合わない見込みが算出されました。
そこで導入コストが比較的安価に済むガス切断・溶接の一式を導入。業務の規模が大きくなかったため、導入費用に見合った利益を得ることができました。
(2)金属加工を行う鉄工所での自動化にガス切断機を導入
ガス切断は人の手で作業を行うものと、機械で自動化できるガス切断機があります。(ガス切断機は電力が必要です)
とある鉄工所では鋼板の加工を熟練者が行っておりましたが、人員不足と生産性の効率改善が課題となっていました。
近年では担い手が不足していることもあり、熟練者が定年退職をしてしまうと引き継ぐ人も減ってしまいます。
そこで、この鉄工所では、自動化できる工程はNCガス切断機を導入し、人の手で加工を行う部分のみに集中してもらうよう運用方法を変更しました。人員不足にも対応しつつ、生産性の効率改善が行えています。
(3)厚みのある極厚板の加工にガス切断機を導入
最新の切断技術を持ってしても、厚板の切断となればガス切断機が非常に有利です。
多様な形状を加工する企業では、50mm以上の厚板を切断する必要がありました。
しかし経済性と技術的な要素から、ガス切断機の導入が適切だと判断。量産品への対応も可能とした汎用性のあるNCガス切断機を導入し、安定した生産と確実な金属切断が行えるようにしました。
4.ガス切断機導入でおすすめのメーカ2選
ガス切断機は厚みのある鋼板にも対応し、場合によってはプラズマ切断やレーザ切断よりも費用対効果が高い場合もあります。
ただしガス切断機で対応できないような細かい部分のカットや溶接は、人の手で作業しなくてはなりません。導入時はガス切断機のほか、トーチで直接作業できるよう設備を整えておいたほうが良いでしょう。
また自動化に関しては、お客様の抱えている課題や状況次第で対応方法が変わる場合もあります。導入に関する相談を専門の企業へ依頼するのも一つの手です。
以下、おすすめのメーカを2社ご紹介しますので、よければ参考にしてください。
(1)日酸TANAKA株式会社
日酸TANAKA株式会社は、大正6年に創業を開始した老舗企業です。金属切断に関しては非常に知見があり、ガス切断からプラズマ切断、レーザ切断も取り扱いがあります。下記の図は日酸TANAKA社のガス切断機です。
(引用:日酸TANAKA株式会社 NCガス切断機)
住所:埼玉県入間郡三芳町大字竹間沢11
TEL:049-258-4412
URL:http://nissantanaka.com/index.html
(2)藤原鋼材株式会社
藤原鋼材株式会社は1955年より鋼材販売を行っている企業で、一般材の販売から加工部門まで鋼材に精通しています。下記の図は藤原鋼材社のNCガス切断機KT-590です。
(引用:藤原鋼材株式会社 ガス切断機)
住所:東京都港区麻布十番1丁目7番3号 藤原ビルディング
TEL:03-3404-5171
URL:https://www.fk-k.co.jp/
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