振動溶着を徹底紹介!原理や導入事例、振動溶着機の主要メーカ・製品

振動溶着は非常にシンプルな原理を用いており、樹脂の溶着技術では強度も気密性も高い安全・確実な溶着工法です。

事前に特徴を押さえた上で導入を検討すれば、期待に沿った効果も見込めるでしょう。

本コラムでは振動溶着の特徴や基本的な原理、導入事例について書き出しています。また、導入を検討する方に向けて、最適な相談先もまとめているので参考にしてください。

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1.振動溶着のメカニズムとは?特徴やメリット・デメリットについて解説

溶着の工法は種類が多く、レーザーを使用したものから加熱した鉄板を利用したものまでたくさんあります。

中でも振動溶着はシンプルで、汎用性が高い溶着技術です。接合するための部品を必要とせず、熱可塑性の樹脂であれば問題なく接合できます。

ただしいくつか特徴があるため、導入前にチェックしておくと良いでしょう。

(1)振動溶着とは?

振動溶着は数ある溶着工法の中でもシンプルな原理を利用していて、樹脂をこすり合わせる摩擦熱で溶着します。

ほかの工法だと溶着時の条件次第で溶着不可な場合もありますが、振動溶着は熱可塑性の樹脂であればほぼ問題なく溶着が可能です。

溶着したい部分同士を重ね合わせて振動させると、摩擦熱によって部材が溶融し接合されます。

寒いとき、手をこすり合わせて温めようとしますよね。あの振動を高速で行い、もっと高い温度の摩擦熱を生み出します。

また一般的な240Hzの振動溶着機では、およそ2〜5秒程度で作業が完了するほどのスピードです。

シンプルかつスピーディな溶着工法のため、自動車部品や家電製品といったさまざまなジャンルで活躍します。

(2)振動溶着の優れた特徴

振動溶着には、下記のような優れた特徴がいくつかあります。

  • 熱可塑性の樹脂であればほぼ溶着可能
  • ネジを使わない
  • 比較的大きなものも対応
  • 矯正しながら溶着ができる

熱可塑性の樹脂であれば部材を選ばず、ネジのような接合部品を使わない点も優れた特徴です。

そのため不要になったときのリサイクル性が高く、扱いやすさから人気を得ています。

また比較的大きい樹脂の溶着も可能で、1.5mほどの部材でも問題ありません。

さらに振動溶着は、矯正しながら溶着できる点もポイントです。切断加工をした樹脂製品は、ソリや収縮が発生する場合もあります。

しかし溶着する際に治具で固定して加圧するため、矯正されたまま溶着が可能な工法です。

(3)振動溶着の欠点について

シンプルで汎用性の高い振動溶着ですが、下記のような欠点もあります。

  • 導入費用が高額
  • 作業スペースをとる

振動溶着機はほかの溶着機と比較して、コストがかかる傾向です。

また振動溶着機のサイズが大きければ大きいほど、作業スペースも取られます。

とくに1.5m級の部材を溶着できるサイズになれば、かなりの場所が必要です。

メーカーやサイズによって変動するため、導入する際にはしっかりサイズや導入費用を押さえておきましょう。

2.振動溶着はどんな用途で使われている?導入時の注意点について

振動溶着はシンプルだからこそ、さまざまな形状や仕様で活用できます。

また振動を利用する溶着方法で超音波溶着工法もありますが、厳密には振動溶着と同じ工法ではありません。

理解しておかないと部材に悪影響を及ぼす恐れがあるため、しっかりと確認しておく必要があります。

(1)振動溶着の用途

振動溶着は大きな部品や複雑な部品・多面体、曲面のように形状問わず利用可能です。

気密性や強度も確保でき、自動車業界や家電業界といった多くの業界で活躍しています。

  • 自動車の樹脂部品
  • 医療用器具や部品
  • 液体を扱う気密性の高い製品
  • 家電製品

普段は気にしていなくても、日常生活では欠かせない製品に利用されていることが多いです。

安全性と機密性が高く、熱可塑性がある樹脂のほとんどに利用できます。

(2)超音波溶着との違いは?

超音波溶着は、振動溶着で使われる振動よりもさらに細かい超音波が利用されています。超音波を発振させ、加圧と同時に溶着させる技術です。

電気エネルギーを振動エネルギーに変換し、より強力かつ局所的に摩擦熱を発生させます。

また超音波溶着は、超音波振動を部材に伝搬させていく工法です。

したがって軟質な部材は振動エネルギーが減衰してしまい、肝心の溶着部まで伝達しない恐れがあります。

さらに超音波振動で得られる加速度Gは高く、部材によってはダメージを負いかねません。

一方で振動溶着は部材を直接振動させるため、大型の部材や軟質な部材でも問題なく溶着できます。

発生する加速度Gも超音波に比べて低いため、製品や部品へのダメージは少ないです。

(3)導入時の注意点

振動溶着機を導入するためには、下記の欠点をクリアする必要があります。

  • 導入費用がかかる
  • 作業スペースをとる

さらに振動溶着の特徴を把握し、設計段階での仕様を合わせなければいけません。

基本的な特徴として、振動溶着は横方向の振動に限定されます。

つまり3次元の複雑な形状だと部品を分割する必要があり、工程が複雑になりがちです。どのような溶着をするのか、設計段階で配慮しましょう。

またジョイントの設計も重要です。ジョイントとは接合部分の形状を指します。

一般的なジョイント形状だと振動エネルギーが分散し、溶着が十分に行えない問題が発生しやすいです。

そのため接合部分が突起している溶着リブを設けたり、バリ取り処理をなくすバリ溜まりを設けたりします。

3.振動溶着の導入事例についてご紹介!事例を元に導入イメージを検討する

振動溶着を導入する前に、具体的な事例を参考にしておくと導入イメージがしやすいです。

また振動溶着は多くの業界で活躍しており、自動車部品と医療部品・家電部品とジャンルにとらわれません。

具体的な事例を元に導入イメージを検討してみてください。

(1)導入事例①:自動車部品

振動溶着の多くは、自動車部品の溶着で導入されています。

自動車は電装品を扱ったり人命に関わる役目を持ったりする一方、デザインの美しさも重要になる製品です。

そのため強度や気密性・寸法の正確性だけではなく、美しい外観も求められます。

振動溶着は強度や気密性を高く保ちつつ、部材に与えるダメージも少ないため適切な溶着工法です。

樹脂を組み合わせた製造が多い自動車部品の溶着は、高い品質を保たなくてはいけません。

例えば強度が必要な部材もあれば、傷や打痕のない美しい加工が必要な部品もあります。

状況に応じた加工は必要不可欠となる反面、それぞれの材質に合わせた加工を行うと生産量が限定されてしまうでしょう。

振動溶着ではこれらの問題を解決できるため、自動車業界でのニーズは絶えません。

(2)導入事例②:医療部品

振動溶着は人の命を救う、医療の最前線でも使用されています。

おもな使用例は、細胞を培養するための培養プレートです。気密性を高く保ちつつ、一定の生産数を必要とします。

しかし医療や研究の現場で日常的に使用されるため、生産数が悪い工法だと消費に追いつきません。

また一般的に目にするものではありませんが、私達の暮らしを陰から支えてくれている重要な役割を持っています。

そこで振動溶着を活用した生産体制なら、一度に多くの培養プレートを生産可能です。

安定した研究が行えている土台作りにも、振動溶着は大きな貢献を果たしています。

(3)導入事例③:家電部品

家電製品では冷蔵庫や洗濯機・食洗機のように、多岐にわたって振動溶着が使用されています。

家電製品のように外観デザインと使いやすさ・電力使用を求められる製品は、気密性の高さや傷をつけない溶着技術が必要です。

形状が複雑なものや大型の成形部品でも、振動溶着なら高い気密性を保ったまま溶着ができます。外観デザインを損なうこともありません。

また溶着スピードも早く、大量生産向きにも関わらず高品質を保てます。

振動溶着を採用している家電製品は日常生活に必要な製品ばかりなので、振動溶着の信頼性はとても高いです。

4.振動溶着機のおすすめメーカ2選

振動溶着機は多くの利点があり、業界問わずさまざまな製品を溶着するのに活用されています。

しかし場合によっては向いていない可能性もあるため、費用や時間を無駄にしないように実際に導入するときは慎重に検討をしましょう。もし不安な場合は、多くの事例を持っているメーカに相談することをおすすめします。

(1)デュケインジャパン株式会社

デュケインジャパン株式会社は、アメリカに本社をおきます。プラスチックの溶着技術において40年以上の経験と実績がある老舗企業です。

振動溶着機以外にも超音波溶着機や、スピン溶着機を供給しており、高い技術を持っています。

サーボドライブ振動溶着機VW6700は、デュケイン社の新型溶着機です。

(引用:デュケインジャパン株式会社 サーボドライブ振動溶着機 VW6700

テーブルの駆動制御を従来の油圧シリンダから最新のサーボ制御技術に変更し、高速テーブル駆動と高い位置精度・再現性を実現しています。

(2)日本エマソン株式会社 ブランソン事業本部

設立から60年以上の歴史を持つブランソンは、樹脂溶着と超音波洗浄の世界的トップブランドで、パイオニア的存在です。

日本国内だけではなく、世界40カ国に拠点を持ちます。グローバルなサポートが自慢で、高品質な機器を提供中です。

また同社製品のオービタル振動溶着機は横方向の振動ではなく、微少な円振動を行う溶着機です。下記の動画も参考にしてください。

オービタル振動溶着機は従来の溶着より、さらにダメージを抑えた均一な溶着も実現しました。精密部品が内蔵されたデリケートな部材の溶着で、真価を発揮します。

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