溶接治具のメリットを解説!種類や設計の注意点、おすすめメーカ3選

溶接治具はその名前のとおり、溶接作業を補助するための治具です。溶接作業を行うさまざまな製造現場で用いられており、大手自動車メーカから町工場まで、あらゆる現場に欠かせないものとなりました。「品質のよい溶接治具を導入したい」と考える担当者もいるのではないでしょうか。

当記事では溶接治具の概要や導入のメリット、設計の際の注意点について解説します。

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1.溶接治具とは?

溶接治具の「治具」の意味とは、ワーク(加工対象物)へ溶接や組み立て、研削などの加工を施す際に取付けることで、加工のサポートや案内を行うための補助具です。

そして溶接治具は、溶接作業のサポートに特化しています。

(1)溶接治具の概要

溶接治具は、主に次の用途が考えられます。

  • 個人の技術にかかわらず決まった形に溶接できるようにする治具
  • ワークを固定して溶接作業中でも動かないようにする治具
  • 特定のガイドに沿って溶接トーチの操作や溶接する位置などを案内する治具
  • 検査や検証用など溶接技術の研究に使える治具 など

上記のように、溶接作業の補助ならびに溶接技術の向上のために治具は用いられます。

(2)溶接治具を導入するメリット・デメリット

溶接治具を導入するメリットは次のとおりです。

  • 溶接作業の効率や生産性が向上する
  • 歩留まり向上によってコストが削減できる
  • 技術や経験差に関係なく同一品質の製品が作りやすい
  • 溶接作業の自動化・半自動化も実行できる
  • 従来の溶接機にはない機能を追加できる など

上記のように熟練工の腕や製造ラインの改善だけでは対応できない、さまざまな溶接作業に関するサポートが可能です。

また溶接工程そのものだけでなく、溶接の前後工程の作業効率化や、出荷先の顧客からの評判にもよい影響を与えられるでしょう。

しかしメリットだけではありません。溶接治具を新しく製作する際に発生するデメリットは次のとおりです。

  • 治具製作のコストが別途発生する
  • 治具使用のために新しい作業標準の作成や安全教育の実施が必要になる
  • 治具の設置や収納のスペースが必要になる
  • 治具のメンテナンスが必要になる

製作コストや従業員の教育はどうしても必要になります。

大型治具の場合は収納スペースの問題も出てくるため、製作前には現場の従業員や現場の広さとの相談になるでしょう。

2.溶接治具の製品やその性能について

溶接治具にはさまざまな種類の製品が販売、または開発されています。ここでは溶接治具の種類や製品性能について概要を解説します。

(1)自動溶接治具

自動溶接治具とは、溶接のトーチや母材の位置・高さ・動きを指定し、コンピュータによる自動溶接を可能にするものです。

溶接を自動化することで、人手不足の解消や人員コスト削減、製品品質の一定化を見込むことが可能です。また溶接という危険作業をロボットに任せることで、作業員の安全確保にもつながります。

溶接の自動化については現在も研究が進んでおり、問題となっている「熟練溶接工の不足による生産性の低下」を防ごうという動きが増えてきました。

自動溶接機や自動溶接治具に関する需要や技術力向上も今後見込まれます。自動溶接治具を事前に導入しておき、今後のFA化(工場の製造ラインの自動化)を視野に入れた改善も検討しておくことをおすすめします。

(2)母材固定用の治具(マグネット・ブロック・クランプ)

母材固定用の治具とは、ワークを溶接作業中でも動かないように固定できるものです。主に次の用途に使えます。

  • ワーク本体の定位置を固定
  • 希望通りの高さに調整
  • 一定の角度を保ったまま固定 など

溶接用の治具としては「マグネット」や「ブロック」、「クランプ」を用いるのが一般的です。

マグネットは強力は磁力によってワークに吸着し固定するタイプのものです。スイッチのオンオフによって磁力のオンオフを変えられるマグネットや、ワークの角度を30~90℃で調整できるマグネットも販売されています。

ブロックはY字の溝や穴が開いているブロック形態の治具で、位置決めピンなどと組合わせて使います。

クランプはワークを上下2つの面で締め込み固定する治具です。溶接用のクランプはアーク溶接機のアースをつなげられたり、ワークを滑らせて固定位置を容易に変えられたりするタイプのものがあります。

溶接作業は母材同士の距離や溶接位置が非常に重要であるため、作業効率アップには効果的な治具といえます。

(3)溶接定盤・溶接テーブル

溶接定盤や溶接テーブルとは、溶接作業用にさまざまな機能がついている作業台のことです。具体例を見ていきます。

  • 溶接用のクランプやアングルを固定できるようにテーブルに穴が空いている
  • テーブルの下に引き出しや置き場がついている
  • テーブルや定盤に直接アースをつなげられるようになっている
  • キャスター付きで移動が容易なものがある など

製品のタイプによって機能も違ってくるので、現場が必要とする機能を備えた溶接定盤や溶接テーブルを選定しましょう。

(4)オーダーメイドの溶接治具

自社製品や溶接の方法次第では、販売治具では実現が難しい機能を持つオーダーメイド治具を製作会社に依頼するのもありです。自社の製造品や作業工程に特化したオリジナルの治具であれば、一気に作業効率を上げることもできます。

もしオーダーメイドで溶接用の治具を製作する場合は、治具製作を専門にした会社や、溶接機の販売メーカなどへ一度問い合わせを行いましょう。

3.溶接治具設計時の注意点

1からオーダーメイドの溶接治具を設計する際には、設計の初期段階から導入テスト、その後の使用までを見据えた計画を立てることが重要です。

治具設計は、主に次の流れで進んでいきます。

  1. 公式サイトの製作事例や技術力をチェックし問い合わせを行う
  2. 製造品や対象部品、製作目的、納期などについて打ち合わせを行う
  3. 見積もりを出してもらう
  4. 溶接治具の設計図や仕様書を確認する
  5. 設計図や仕様書を元に製作を進めてもらう
  6. 納品前に溶接治具のチェックを行う
  7. 納品・運転・経過観察を行う

ここからは溶接治具設計時の注意点を見ていきましょう。

(1)溶接作業員や治具の製作会社との打ち合わせをしっかり行う

溶接治具を実際に使用するのは溶接作業員です。そのため、溶接作業員ならびに現場全体の意見を無視して設計を進めてはなりません。

設計に入る前に、治具の導入担当と治具の製作会社、現場の3者の意見をもとにしっかりと打ち合わせを行うことが大切です。例えば次のような内容を確認します。

  • 生産性を上げるためには現場にどんな治具が必要になるのか
  • 製作コストはいくらか
  • 対費用効果はどうか
  • その治具を導入して作業の効率化は本当に達成できるのか
  • 現場の作業員にとって扱いやすいものか
  • 安全に利用できるか
  • 収納スペースに問題はないか など

また溶接治具を設計し製作する場合、必ず技術者立ち会いのもとでテスト導入を行いましょう。あらかじめ実践にもとづいた問題点を洗い出すことで、スムーズな導入や導入後のトラブル減につながります。

(2)溶接の方式にあった治具を設計する

溶接治具の設計においては、自社で使用している溶接機の形式に合った材質や形式にすることが重要です。

治具に使用する素材の強度や熱耐性、溶接スパッタがつきにくさなどを考慮しましょう。

(3)治具を自作できないかも検討する

自社の溶接や工作技術を用いることで、他社へオーダーせずに自作の治具を製作することが可能かもしれません。

工作用のステンレス・アンクル・ネット・丸棒などは一般用・業務用のどちらも販売しています。それらを用いた簡単な治具製作であれば、わざわざオーダーメイドで作る必要もありません。

ただし精度が求められるものや大型のものは製作会社に依頼すべきです。予算や状況と相談しながら判断してください。

4.溶接治具の設計を相談したいときにおすすめのメーカ3選

ここからは、溶接治具の設計を相談したいときにおすすめのメーカを4つご紹介します。

(1)山鉄株式会社

山鉄株式会社は、特注の溶接治具設計や製作についての専門的な技術を持つ設計製作のエキスパートです。設計から製作、検査、納品までをワンストップで対応してくれます。

これまで自動車業界や建設業界など、さまざまな業界へ治具を提供してきました。大型の製造品にも対応できる技術力を持っています。詳しい製作実績は「試作開発 治具設計・製作.com」のWebページでも確認可能ですので、ぜひ一度チェックしてみてください。

住所:愛知県豊田市前田町5-30-2
TEL:0565-33-7715
URL:https://yamatetsu-ltd.co.jp/

(2)株式会社岩本鉄工所

株式会社岩本鉄工所は、ベンダー加工やレーザ加工などに加えて、アーク溶接やティグ溶接、アルゴン溶接、CO2溶接などのさまざまな溶接に関するソリューションを提供しているメーカです。50年以上建設機械の溶接板金部品を製作してきた経験と実績を持ちます。

搬送装置・マテハンや半導体・電子部品関係の治具製作の実績もあるため、どのような製造品にも対応できる治具製作の依頼が可能です。製作物については「溶接板金加工.com」にて確認できます。

住所:石川県小松市吉竹町タ33番地
TEL:0761-22-1486
URL:https://www.tk-iwa.jp/

(3)株式会社坂元機械製作所

株式会社坂元機械製作所とは、トヨタ自動車などの大手自動車メーカの最新の生産ライン開発にもかかわってきた工業製品メーカ用の治具製作会社です。自動車のボディやシートフレーム溶接治具などの、自動車関係の治具開発に関して豊富なノウハウを持っています。

こちらでも治具設計から部品加工、組み立て、現地工事、ロボットティーチングまでの一貫受注に対応しています。

住所:愛知県瀬戸市品野町3-439-29
TEL:0561-42-0430
URL:http://www.sakamotokikai.co.jp/index.html

5.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツ

溶接治具を導入することで、現場の溶接作業の効率化や省力化などによる生産性の向上が見込めます。しかし、事前に設計に関する打ち合わせや現場の課題の洗い出し、正確な技術による製作などを実施した高品質な治具でなければ、対費用効果を得ることは難しいでしょう。

もし溶接治具の導入に関して悩んでいる場合は、日本サポートシステム株式会社や山鉄株式会社など、治具設計のスペシャリストに相談するのがベターです。

株式会社ストラーツでは、問合せにつなげる製造業ウェブサイトや記事の制作・納品までを行っています。

ウェブサイトや記事は広告と異なり、一度制作した後は、コストをかけなくても問合せ・リード獲得をし続けるという点が大きなメリット。

また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。

御社の問い合わせ・売上増に貢献いたしますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。