Web広告が主流になるにつれて、大企業・中小企業に関わらず広告運用をする企業が増えています。潜在顧客や見込み顧客に対して積極的にPRできる広告は、製造業が販路拡大するために効果的なマーケティング施策です。
本記事では、製造業が活用できる広告手法の特徴や広告運用のポイントを解説いたします。製造業向けに広告サービスを行っている企業も併せて紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
もし、広告運用に関してお悩みの場合や、製造業のWebマーケティングに関して
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1.製造業が活用できる広告手法
広告を出稿する方法は数多くあります。ここでは、製造業の広告手法を、主にWebを中心にご紹介すると同時に、各手法の主要なメディア・媒体を紹介します。
【製造業が活用できる広告手法一覧】
広告手法 | 概要 | 特徴 | 主な媒体 |
リスティング広告 | GoogleやYahoo!の検索結果画面の目につく場所に表示される広告 | 能動的に検索をして情報を探しているユーザに対して、ピンポイントでPRが可能 | ・Google広告 ・Yahoo!広告「検索広告」 |
ディスプレイ広告 | Googleの関連サイトやYahoo!の関連サイトの広告枠に配信できる広告 | ・ユーザニーズの掘り起こしができる ・リターゲティング広告を使えば、自社サイトを離れたユーザにもアプローチできる | ・GDN(Googleディスプレイネットワーク) ・Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型) |
SNS広告 | SNS上に配信する広告 | ・ターゲットとするユーザ層にピンポイントでPRしやすい ・情報が多くのユーザに伝わりやすい | ・Twitter広告 ・Facebook広告 ・Instagram広告 ・LINE広告 ・TikTok広告 ・YouTube広告 |
純広告 | Webサイトやメディアを運営している企業と連携しながら配信する広告 | ・他社のWebサイトやメディアの集客力を利用できる ・訴求力のある広告を制作しやすい | ・製造ポータル ・イプロスものづくり ・MONOist |
(1)リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索をした後に表示される広告のことです。表示される広告の内容が検索時に入力したキーワードと連動するため、検索連動型広告とも呼ばれています。
①リスティング広告の特徴
製造業の場合、自社の製品や技術に関連するキーワードを検索したユーザに対して、広告を表示させることができます。能動的に検索をして情報を探しているユーザに対して、ピンポイントでPRできるのが特徴です。
ジャンルや企業規模を問わず、あらゆる製造業におすすめできる広告手法です。
企業によっては、外国語を対象のキーワードにし、海外に向けたWebマーケティングに役立てているケースもあります。
②リスティング広告の費用
リスティング広告は、1クリックされるごとに費用が発生するクリック課金型です。事前に月額予算を設定できることがほとんどで、クリックされすぎて高額請求される……ことはありません。
1クリックあたりの金額は、検索キーワードによって変わり、検索回数が少ないものは数十円程度ですが、検索回数が多いものだと数千円になります。
③リスティング広告のメリット
リスティング広告には、主に以下のメリットがあります。
- 自社の顧客になり得るユーザに絞ってPRができる
- 広告費用が安く、数十円〜数百円からでも広告運用できる
④リスティング広告のデメリット
一方で、リスティング広告には、次のようなデメリットもあります。
- 高い成果を上げるためには、訴求力の高いフレーズを制作するなどのノウハウが必要である
- 全く新しい製品や技術など、ユーザがキーワードを知らない場合にはPRしにくい
⑤リスティング広告の主な媒体
(2)ディスプレイ広告
①ディスプレイ広告の特徴
ディスプレイ広告とは、Webサイト上に掲載される広告です。GoogleやYahoo!に申し込むことで、GoogleならGoogleの関連サイト、Yahoo!ならYahoo!の関連サイトに設置された広告枠に配信されます。
ディスプレイ広告は、多くのユーザに広くアプローチができるため、ユーザニーズの掘り起こしが可能です。
たとえば、これまでは必要と感じなかったけれど、広告を見せることで、「今まで知らなかったけど、これ便利だな」「そう言えば、こんなのが欲しかったんだよ」とニーズを明確にさせることができます。うまく訴求できれば、そのまま見込み顧客にもなってくれるでしょう。
また、ディスプレイ広告には、リターゲティング広告という手法もあります(運用元にはYahoo!とGoogleがあり、Yahoo!の場合はリターゲティング広告と呼ばれますが、Googleの場合はリマーケティング広告と呼ばれます)。
自社サイトに訪問したユーザが別のWebサイトにアクセスしたときに、そのWebサイトの広告枠に自社の広告が出てくる、というものです。
一度自社のWebサイトに訪問したということは、自社に対して何らかの興味があるユーザだといえます。そのユーザに対して繰り返しPRできるのが、リターゲティング広告の特徴です。リスティング広告と同様に、あらゆる製造業が活用できる広告手法となっています。
また、ほかの広告と併用しやすいのも魅力としてあげられるでしょう。リスティング広告やSNS広告で自社サイトに誘導しつつ、訪問したユーザにはリターゲティング広告を配信、といった事例もあります。
②ディスプレイ広告の課金方式と費用相場
ディスプレイ広告は、基本的にクリック課金型です。費用相場は、数十円から数百円程度とされています。
Googleの場合、目標コンバージョン単価制を選ぶことも可能です。こちらは成約ごとに広告費が加算される方式で、成約1件あたりの単価は企業が設定できます。
③ディスプレイ広告のメリット
ディスプレイ広告には、主に以下のメリットがあります。
- ユーザニーズを掘り起こすことができる
- テキスト、バナー、動画から自由に選択できる
- リターゲティング広告を使えば、ユーザと自社広告の接触回数を増やせる
④ディスプレイ広告のデメリット
一方で、ディスプレイ広告には、次のようなデメリットもあります。
- ユーザに広くアプローチをするため、興味のないユーザにも配信してしまう
- リターゲティング広告の場合、広告が繰り返し表示されるため、ユーザに嫌がられる場合がある
⑤ディスプレイ広告の主な媒体
(※)GDNと並んでよく紹介されていたYDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)は、2020年6月23日でサービス終了予定。
(3)SNS広告
①SNS広告の特徴
SNS広告は、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNS上に広告を出稿する手法です。SNSはユーザのプロフィールや趣味嗜好といったデータを細かく保有しているため、ターゲットとするユーザ層にピンポイントでPRしやすいという特徴があります。情報が多くのユーザに伝わりやすいのも魅力です。
また、最近では、動画広告をYouTubeに掲載するケースも増えてきました。ユーザが動画にアクセスすると、本編が始まる前に広告が流れるので、自ずと認知してもらえるようになります。自宅で過ごす時間が増え、動画を日常的に視聴するようになった人が多いためか、今盛り上がりを見せているPR方法です。
SNS広告では、単に製品やサービスの購入を促すのではなく、まずはファンを増やすために活用している事例が散見されます。あるメーカでは、職人が製品を丁寧に制作している過程を配信し、ブランドの価値をわかりやすくアピールすることで、多くのフォロワー獲得に成功しています。
②SNS広告の課金方式と費用相場
SNS広告には、さまざまな課金方式が用意されています。リスティング広告やディスプレイ広告と同様のクリック課金型、広告が表示されるたびに費用が発生するインプレッション課金型や、表示される日数によって費用が変わる掲載日数課金型などです。いずれにしても、事前に月額の予算を設定した上で利用します。
費用は媒体や課金方式によって大きく変わります。たとえばFacebook広告の1クリックあたりの料金は数円~数百円、YouTubeのディスプレイ広告は3~20円とされています。
③SNS広告のメリット
SNS広告には、主に以下のメリットがあります。
- 拡散効果が高く、一度の広告出稿で多くの顧客を獲得できる可能性がある
- ターゲットとするユーザ層を細かく設定した上で広告を表示できる
- 広告費用を比較的自由に設定でき、予算管理がしやすい
④SNS広告のデメリット
一方で、SNS広告には、次のようなデメリットもあります。
- 成果を出しやすい製品ジャンルが限られている
- イラストや動画を用いるなど、広告表現に工夫が必要である
⑤SNS広告の主な媒体
(4)純広告
①純広告の特徴
純広告とは、Webサイトやメディアを運営している企業に広告掲載の依頼をして、配信してもらう手法です。広告を表示する具体的な方法としては、バナー広告、記事広告、メールマガジンなどがあります。
純広告を利用する場合、BtoC企業であれば、多くのユーザが利用するポータルサイトやニュースメディアへの広告出稿が適しています。BtoB企業の場合は、製造業向けのメディアに広告出稿するとよいでしょう。
どちらの場合でも、自社の顧客になり得るユーザが多く利用するWebサイトやメディアに出稿することが、成果を上げるためのポイントです。
②純広告の課金方式と費用相場
純広告には、クリック課金型やインプレッション課金型のほかに、保証型と呼ばれる形態があります。たとえばクリック保証型は、一定のクリック数に至るまで掲載してくれる方式です。掲載側にリスクがあるため、費用が高額になる傾向にあります。
純広告は、課金方式のほか、掲載する媒体、掲載する広告内容などによって費用が変わるため、数十万から数百万円以上とばらつきがあります。
③純広告のメリット
純広告には、主に以下のメリットがあります。
- Webサイトやメディアを利用する多くのユーザへまとめてPRできる
- 自社のことを知らないユーザに対してもPRできる
④純広告のデメリット
一方で、純広告には、次のようなデメリットもあります。
- 広告費用が高額になりやすい
- 実際に集客できたかに関わらず費用が発生する
⑤純広告の主な媒体
【製造ポータル】
「製造ポータル」は、株式会社ストラーツが運営する製造業向けの総合情報サイトです。
さまざまな分野におけるおすすめのメーカ比較や、製造業におけるマーケティング・Web集客全般の知識など、多様な領域の情報を幅広く取り扱っています。また、メディアの運営と良質な記事制作の代行を行い、Webを通じた集客の支援も行っています。
「イプロスものづくり」は、企業間取引における販売促進やマーケティング支援を行っている企業、株式会社イプロスの製造技術のデータベースサイトです。
同社の広告サービスでは、「イプロスものづくり」を通じた自社Webサイトへの集客、営業リストの獲得、メールマガジンによる見込み顧客の育成などを行えます。
「イプロスものづくり」には、無料で自社の製品や技術情報を掲載できるため、利用してみるとよいでしょう。
【MONOist】
ものづくりに携わる技術者に向けて、さまざまな情報を発信する「MONOist」。インターネット専業のメディア企業、アイティメディア株式会社が運営する製造業メディアです。
同メディアでは、バナー広告やタイアップ記事による広告の掲載ができます。また、メールマガジン広告の配信サービスもあり、見込み顧客だけでなく潜在顧客への施策も展開できます。
(5)オフライン広告
オフライン広告とは、Web以外の場所に広告を出稿することです。例えば、テレビCM、雑誌、新聞、ラジオ、屋外広告(看板など)が挙げられます。
近年では、Webでの広告が急激に増加しましたが、オフライン広告もまだまだ活用されています。基本的にはBtoC企業向けの広告手法ではありますが、専門雑誌などに広告を出稿する場合はBtoB企業でも活用できるでしょう。
2.製造業の広告運用におけるポイント
製造業が広告運用に取り組む場合は、以下のポイントをおさえておくといいでしょう。
(1)Web広告の費用・予算の考え方
Web広告の費用は、基本的にCPA(受注1件あたりにかけられる費用)から逆算で求めます。
たとえば、1万円の商品の注文を広告経由で取りたいと考えたとします。このとき、まずは1商品あたりの広告費と月額の広告予算から、どの程度売れば採算が取れるのかを算出します。1商品あたりの広告費が2,000円、広告予算が月額100万円なら、
100万÷2,000=5,000個 |
です。つまり「広告経由で月5,000個の注文が取れれば、赤字にはならない」という見込みが立ちます。
目標にすべき販売個数を算定したら、次に、それを達成するために何件の広告クリックが必要になるかを求めましょう。
たとえば、広告をクリックした人の50%が商品を購入すると仮定した場合、5,000個の注文を取るためには、月に10,000件の広告クリックが必要です。100万円の予算があったとき、1クリックにかけられる単価は、
100万÷10,000=100円 |
です。したがって、1クリックあたりの単価を、100円にする必要があることがわかります。
企業によっては、広告を打つ目的が商品の販売ではなく、「売れなくてもいいから、なるべく多くの人に表示させたい!」、あるいは「顧客のリストが欲しいから、購入ではなく資料DLをゴールにしたい!」「メルマガ会員登録させたい」と考えているところもあるでしょう。
いずれにしても、目的に応じた目標を設定し、その目標値と予算から、1クリックあたりの単価をどう調整していくか…というのが広告運用のポイントです。
(2)Web広告でよく使われる指標
Web広告では、主に次のような指標が用いられます。
指標 | 意味 | 補足 |
表示回数 | 広告が表示される回数 | - |
CTR(Click Through Rate) | クリック率 | 表示回数×CTR=広告のクリック数 |
CPC(cost per click) | 1クリックあたりの単価 | 予算÷クリック数=CPC |
CV(conversion) | 目標 | 製品の購入を指す場合もあれば、問い合わせのことを指す場合もある。CVが何を指すかの定義は、最初に明確にさせておいたほうがよい |
CVR(conversion rate) | Webサイトからコンバージョンに至る割合 | 表示回数×CTR×CVR=CV数 |
CPA(cost per Acquisition) | 顧客獲得単価 | 予算÷(CV数)=CPA |
3.広告の成果がでないときに行いたい施策
広告は製造業が販路拡大する上で効果的な施策ではありますが、万能ではありません。広告運用をして成果を上げられない場合は、他の施策に切り替えたほうがよい場合もあります。ここでは、どのような施策を検討するのがよいかをご紹介します。
(1)自社のWebサイトで集客する
Web上での集客は、広告のように自社以外のWebサイトから集客する方法と、自社のWebサイト自身の力で集客する方法の2種類に分かれます。広告の成果がでないときはもちろん、成果がでているときであっても、自社のWebサイトでも集客できるようにすることは極めて重要です。
自社のWebサイトで集客するためには、SEO対策を行う必要があります。SEO対策とは、検索結果の上位に自社のWebサイトを表示させるための施策です。Googleなどの検索エンジンは、ユーザが満足するコンテンツを多く掲載しているWebサイトを上位表示させる仕組みになっており、上位表示されればそれだけ多くのユーザに見てもらえます。
近年では、SEO対策として、ユーザに役立つコンテンツを提供するオウンドメディアを運営する企業が増えています。オウンドメディアによって集客に成功した製造業企業の事例も数多くあるため、取り組んでみてはいかがでしょうか。
(2)オンライン展示会を活用する
Web上での集客だけにこだわらず、展示会などのリアルイベントに出展して潜在顧客や見込み顧客にアプローチするのも有効な施策です。展示会には、多くの人が集まるだけでなく、顧客と直接会話してPRできるというメリットがあります。
しかし、最近では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、どうしても人が密集することになる展示会は避けられるようになってきています。そこで、徐々に増えてきているのが、インターネット上で開催されるオンライン展示会です。
オンライン展示会は、人と人との直接的な接触を避けられるだけではなく、出展コストがあまりかからない、時間や場所の制約がなく遠方の顧客が参加しやすいといったメリットがあります。有効に活用すれば、コストをおさえつつ販路開拓につながるでしょう。
4.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツへ
本記事では、製造業が活用できる広告手法や広告運用のポイント、製造業向けでおすすめの広告サービス企業などについてご紹介しました。
オフライン広告が主流だった頃は一部の大企業しか広告を活用できていませんでしたが、Web広告の登場によって、中小製造業であっても広告運用できるようになってきました。本記事を参考にしつつ、広告運用を検討してみてはいかがでしょうか。
また、広告運用だけでなく、オウンドメディアによるSEO対策や展示会の活用などにも視野を広げて、販路開拓に取り組んでいただきたいと思います。
株式会社ストラーツでは、問合せにつなげる製造業ウェブサイトや記事の制作・納品までを行っています。
ウェブサイトや記事は広告と異なり、一度制作した後は、コストをかけなくても問合せ・リード獲得をし続けるという点が大きなメリット。
また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。
御社の問い合わせ・売上増に貢献いたしますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。