【図解】鋳造工程│自動化し生産性を上げる方法とおすすめメーカ3社

金属を加工して製品を作る技術は、プレス加工、粉末冶金、溶接加工、鍛造加工などがあり、もう一つが鋳造加工です。

鋳造加工は、時代が旧く、昔は銅や青銅の鋳造品が作られ、鉄が普及して鋳鉄や鋳鋼のような鉄の鋳造品が代表となっています。日本でも、古くは銅鐸から奈良時代の仏像などが、鋳造で作られています。

また、周りに目を向けてみても、マンホールやタイヤホイール、チタン製のゴルフクラブなど鋳造品は多くあります。最も多いのは、自動車の部品ではないでしょうか。

このように、鋳造品は身の回り、そして歴史的にも旧くからあるのですが、どうやって作るのか、という問いかけには答えられないのが普通です。あえて答えれば、砂を固めたものの中を中空にして、そこに溶けた鉄を流し込めばできる、といった程度の答え方がやっとでしょう。

そこで、このコラムでは、身近にある鋳造品の作り方を中心に紹介します。

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1.鋳造とは

(1)  鋳造とは

鋳造は、融点以上の温度で、鋳鉄・銅・アルミニウムなどの金属を液体にして、型に流し込み、冷やしてながら固め、構造物製品を作る方法です。鋳造に関する言葉を、以下で整理します。

  • 鋳型……鋳造に使われる型
  • 鋳物……鋳造でできた製品
  • 湯 ……液状になった金属
  • 鋳造……専用の砂に粘結剤や添加剤を配合して固めた砂型を型とする
  • 砂型の型……砂型は成形品を取出すときに壊すため、製品1つごとに砂型が必要
  • 金型の型……繰り返し利用でき、鋳物の大量生産が可能

(2) 鋳造の種類

表1では、鋳造の種類をいくつか簡単にご紹介します。

表1 鋳造法の種類

鋳造方式内容特徴
砂型鋳造木型で空洞を作った砂型に、湯を入れて、鋳物を形成します。試作用に用いられます。大きな鋳物が形成できます。寸法精度に劣る。
Vプロセス鋳造乾燥砂とビニル膜で作った砂型に湯を入れて、鋳物を形成します。大きな鋳物が形成できます。薄肉に対応できます。鋳物の肌がきれいに仕上がります。
精密鋳造石こうの鋳型に湯を入れて、鋳物を形成します。鋳物の肌が滑らかです。優れた寸法精度に仕上がります。薄肉製品や複雑形状の鋳物の形成がは脳です。
重力金型鋳造金型に湯を入れてから、湯の自重で鋳物を形成します。寸法精度が優れます。鋳物の肌が滑らかにできます。
低圧鋳造金型に低圧・低速で湯を入れて、鋳物を形成します。製品質量や鋳込みの質量に対する歩止まりが優れています。
ダイカスト精密な金型に、高圧・高速で湯を入れて、鋳物を形成します。鋳物の肌が滑らかです。精度の高い仕上がりの鋳物ができます。大量生産に向いています。

2.鋳造工程

図1と図2では、鋳造工程を紹介しています。この鋳造工程は、人が行うという前提です。

鋳造工程 図1
鋳造工程 図2

各工程について、詳しくご説明しましょう。

(1) 型製作工程

製品の設計図や模型を元に、造形用の模型を、木や発泡スチールで、模型を製作します。

(2) 造形工程

水と粘土を混ぜて混練された鋳物砂を、押し固めて鋳型を作ります。製品に合わせて作成された金型が転写されて、製品と同じ形の空洞ができます。鋳型の寸法精度を上げるために、鋳型の砂づまりを均一にします。

(3) 溶解工程

銑鉄・鋼屑・戻し材などの材料を、燃料にコークスを使うキュポラ(炉)を使って、約1600℃で溶融します。溶けた鉄は、キュポラの下の出湯口から流れ出ます。

(4) 注湯工程

トリベと言う、溶湯の入れ物から、湯を鋳型の注湯口から注ぎ入れます。内部に中子がセットされますが、製品の中空部を形成するためです。

(5) 砂落とし工程

固まった鋳物を、金枠から砂型と、砂ごと分離されます。砂は崩壊しますが、回収され再生され、再度、砂型に使われます。この工程に、回転式ドラム方式が使われることもあります。
鋳物に付着した砂を落とすために、ショットブラストがかけられます。

(6) 切断・バリ取り工程

湯口や鋳物に残ったバリをグラインダーなどで切断し、全体表面を磨きます。

(7) 検査工程

鋳造製品の出荷前の検査を行います。後ほど詳しくご紹介します。

3.鋳造工程の自動化

近年、鋳造工程は、その全部か一部かの差はあっても、ほとんどのメーカで自動化が実施されています。また、ロボットの設置も、工程全体まではできなくとも、作業員にとって危険な個所や生産効率が向上できる箇所に設置されています。

図3と図4では、鋳造工程をロボット投入を含めた全自動化について紹介します。

鋳造工程 図3
鋳造工程 図4

4.鋳造製品の検査

前章でご紹介したように、鋳造工程の最後には検査工程があります。出来上がった鋳物には欠陥がしばしばあり、もしずっと気が付かないままでいると、売上の低下を招く恐れもあります。

この章では、どのような欠陥があるのか、それを発見するための方法には何があるのかご紹介します。

(1) 鋳物製品によくある欠陥

次のような欠陥がよく見られます。

  • ひけ巣
    溶融から凝固スト時に、凝固収縮を抑えられず空洞が生じることで、不安定な形状の空洞となります。
  • ブローホール
    鋳型に鋳込まれるときに、空気やガスが入り込み、空洞が生じることで、球状の空洞が特徴です。
  • ミクロポロシティ
    湯に溶解した水素が、凝固するときに、ガスとして排出されるとき、一部が固体内に留まり空洞ができることで、微細な空洞が特徴です。

(2) 鋳物製品の検査

欠陥を含めた鋳物製品の検査は次のように行われます。

  • 外観検査
    キズ、打痕、バリの残りなどを目視検査による検査します。
  • 寸法検査
    三次元測定器で図面寸法の公差内かどうかを照合します。
  • 非破壊検査
    X線透過試験にて、鋳物内部の空洞状態を確認します。
  • 非破壊検査
    質量検査にて、製品の質量と、標準製品との比較検査を行います。
  • 破壊検査
    生産工程の判定として、次のような抜取検査を行います。
    ・引張試験
    ・衝撃試験
    ・破断・切断か所の破面検査
    ・加工面の走査電子顕微鏡を使った巣の検査
  • その他の検査
    破壊検査・非破壊検査を問わず、発注者から依頼された検査を行います。

5.鋳造工程の自動化におすすめのメーカ3選

鋳造加工は太古の時代から最近まで人が、工程を1つ1つ行って鋳造品が作られていました。鋳造は、効率を上げても製作までに時間が掛かり、大量生産には及ばない時代でした。
しかし、大量生産という問題よりも、作業員に掛かる負担と、危険が一番の問題であったでしょう。そこで、効率化や危険回避という問題に対応できたのが、AIに代表される、テクノロジーの発展です。それが、自動化でありロボット化です。

これまで培ってきた鋳造工程を自動化しようとしたとき、鋳造工程の技術やノウハウが、職場に伝えられ受け継がれていることが重要ですが、同時に自動化やロボット導入に対する技術やノウハウも必要です。

そのため、少しでも不安があるときは、自動化やロボット導入に対して技術をしっかり持っているメーカや同業者から情報を得たり、支援を得るのがいいでしょう。最後に、おすすめのメーカを3社ご紹介します。

(1)アイシン高丘株式会社

アイシン高丘株式会社は、自動車部品を主体とする鋳造・機械加工、自動車部品を主体とする塑性加工などを行う会社です。
同社では、鋳物のことをよく知りたい方向けに「WEBなんでも鋳物館」と称して、鋳物について情報公開しています。図は、「鋳物ができるまで」に掲載されている、鋳物製造ラインの図です。

鋳造工程 アイシン高丘

(引用:鋳物ができるまで

(2)株式会社クボタ

株式会社クボタは、これまでの鋳造技術と構築してきた一貫体制を元に、産業用として理想的な機能を持つ製品を開発するメーカです。鋳造工程の自動化したいときに、どのような製品を導入すべきなのか、有効なアドバイスがもらえるでしょう。
ちなみに、同社では、自社が抱える鋳鉄管の専門工場を自動化にも成功しています。下記は、その様子を写した写真です。

(引用:人とモノが共生・協働するスマートファクトリー・《進化する阪神工場》ロボット導入で鋳造の現場はこう変わった!

(3)三明機工株式会社

三明機工株式会社は、同社では、鋳造プラント自動化システムと呼ばれる事業を展開しています。各現場に最適な鋳造ラインを構築するサービスを提供しているので、自社にはどのような装置が必要なのか、どんな設計がベストなのか、知りたいときに最適な相談先といえるでしょう。

図は、同社が開発したバリ取り作業の自動的に行う装置です。

(引用:鋳造プラント自動化システム

6.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツ

鋳造肯定の自動化は、効率化や危険回避に貢献してくれます。

しかし、本記事でご紹介したように自動化にはある程度の専門的な知識が必要です。初めて自動化をする、自動化のポイントがよくわかっていない、そういった場合は、サポートするメーカと相談しながら進めたほうが、かえってスムーズに実現できる可能性が高いでしょう。

株式会社ストラーツでは、問合せにつなげる製造業ウェブサイトや記事の制作・納品までを行っています。

ウェブサイトや記事は広告と異なり、一度制作した後は、コストをかけなくても問合せ・リード獲得をし続けるという点が大きなメリット。

また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。

御社の問い合わせ・売上増に貢献いたしますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。