近接センサとは、電気エネルギーを利用して、物体の有無・接近状態を電気信号に置き換えることができる機器です。「金属が近づいたら接点がONになる」というシンプルな動作から、FA分野では様々な形で利用されています。
ただ、検出方式の他にも検出性能や耐環境性の違い毎に種類があり、何を選んだらいいのか悩ましいものです。そこでこの記事では、近接センサの種類を分類別に図を交えて解説していきます。
また、近接センサを取り扱っている主要メーカの主力製品、選ぶ時のポイントと導入事例も合わせて紹介していきます。
もし、製造業のWebマーケティングに関して
- 問合せにつながるウェブサイトを制作したい
- 自社製品に関するコラムを作ってアクセスを増やしたい
- ホワイトペーパーの制作をしてリード獲得をしたい
という場合は、お気軽に株式会社ストラーツまでご相談ください。
弊社では製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、専門性の高い記事の制作が可能です。また、問合せやリード獲得につなげる動線設計によって問い合わせ・受注を最大化させます。
1.近接センサとは
(1)定義
近接センサとは、次のようにJISで定義されています。
可動部による機械的接触なしに動作する位置検出スイッチ |
(引用:JIS C 8201-5-2:2009)
つまり、センサに物理的な接触をさせることなく対象物を検出することができるもののことを指します。これは、センサが発生させる電磁界の変化を検出し、電気信号として出力する仕組みで非接触を実現させています。
仕組みは近接センサの種類によって異なるので、詳しくは下記で解説します。
なお、JISで制定された当時は近接スイッチと呼ばれていましたが、近年では近接センサの名称が一般的です。
(2)メリット・デメリット
近接センサの代表的な特徴は非接触であることです。また、電磁界を利用していることから金属体の検出に向いていることがあげられます。
なお、近接センサの特徴に基づいたメリット・デメリットは以下の通りになります。
①メリット
- 接触による消耗がないので寿命が長い
- 電磁界による検出なので色に左右されない
- 許容温度域が広い(参考:−25℃ 〜 70℃)ので高低温環境でも利用できる
- 耐環境性に優れているので悪環境(水, 油, 高温など)でも利用できる
- 金属体以外でも検出できる種類がある(詳しくは下記で解説)
②デメリット
- 検出対象の材質(磁性の有無など)によって検出距離が変化する
- 検出方向に別の金属体が存在すると影響を受ける
- 検出特性の関係でセンサ同士が干渉してしまう
2.近接センサの種類
実は、近接センサは用途や特性などで分けると、たくさんの種類が世の中に出回っています。センサの形状や、サイズ、耐環境性能など様々です。
ここでは近接センサの種類を、代表的な2つの分類別に解説していきます。
(1)検出方式による分類
近接センサは、電気エネルギーを利用して対象物の位置を検出する役割を担っています。
検出方式の違いで分類すると、誘導形、静電容量形、電磁形の3種類があります。
①誘導形
基本的な仕組みは、検出コイルが発生させている磁界を検出回路で感知します。金属体の接近などで引き起こされる磁界の変化を、電気信号に変換して検出する方式です。
一般的な近接センサはこの誘導形を指していることがほとんどです。例えば、金属製のワーク検出や、干渉・接触防止の位置調整に利用されます。
②静電容量形
基本的な仕組みは、電界を発生させる電極の静電容量を検出回路で感知します。ある物体の接近などで引き起こされる静電誘導による静電容量の変化を、電気信号に変換して検出する方式です。
誘導形とは違い、金属以外の物体でも検出することができるのが特徴です。例えば、粉体や樹脂ペレット、液体の位置検出に利用されます。
③磁気形
基本的な仕組みは、ケース内部に組み込まれているリードスイッチが、検出対象である永久磁石の接近を検出する方式です。他には、磁気抵抗素子を用いた種類もあります。
なお、このリードセンサは、ガラス管内のリード片の復元力と磁気による接触で接点状態を切り替えます。この接点状態を電気信号によって検出する方式です。
永久磁石と対になっており、接触式センサを使用したくない安全扉の開閉検出に利用されます。
(2)アンプ構成による分類
①内蔵型
検出コイルとアンプ(信号処理装置)が一体となった構造をしています。内蔵型の強みは、外部環境のノイズに強く検出動作が安定していることです。
②分離型
検出コイルと発振回路からなるセンサヘッド部とアンプ部(信号処理装置)が分離した構造をしています。ノイズを拾いやすいデメリットはあるものの、独立したセンサー部の小型化や高精度な検出感度を調整できる強みがあります。
3.近接センサの主要メーカと導入事例
続いて、近接センサの主要メーカをご紹介します。導入事例もピックアップしているので、自社で活用するときのイメージ作りにお役立てください。
(1)主要メーカの主力製品
ここでは上記で解説した種類別に主要メーカの主力製品を表にまとめました。センサの取扱状況としては、以下の通りです。
- オムロン株式会社:3種類の検出方式を幅広く取り揃えています
- 株式会社キーエンス:誘導形を取り扱っています
- パナソニック株式会社:誘導形を取り扱っています
- 株式会社エヌエー:磁気形を多数取り揃えています
分類1 | 分類2 | オムロン株式会社 | 株式会社キーエンス | パナソニック株式会社 | 株式会社エヌエー |
誘導形 | アンプ一体型 | ・スタンダードタイプ E2Eシリーズ ・スパッタ対策タイプ E2EQシリーズ ・耐油タイプ E2ER/E2ERZ など | ・2線式 EVシリーズ ・3線式 EZシリーズ ・アルミ近接センサ EDシリーズ など | ・シリンダ型 GX-300シリーズ ・角型 GX-F/Hシリーズ ・小型 GXシリーズ など | - |
誘導形 | アンプ分離型 | ・スマート近接センサ E2NC ・非磁性金属検出用 E2CY-SD ・高精度デジタルタイプ E2C-EDA など | ・金属通過型 TAシリーズ ・アンプ分離型 ESシリーズ ・アルミ近接センサ ETシリーズ | ・超小型 GA-311/GHシリーズ | - |
静電容量形 | アンプ一体型 | ・長距離タイプ E2K-C ・円柱タイプ E2K-X ・フラットタイプ E2K-F など | - | - | - |
静電容量形 | アンプ分離型 | ・長距離タイプ E2J | - | - | - |
磁気形 | リードスイッチ応用型 | ・スタンダードタイプ GLS | - | - | ・マグネット検知型 RSシリーズ |
磁気形 | 磁気抵抗素子応用型 | - | - | - | ・マグネット検知型 MEシリーズ |
①オムロン株式会社
オムロン株式会社は、健康医療機器の他にも工場の自動化を中心とした制御機器や電子部品などを取り扱っている企業です。今回紹介した近接センサを幅広く取り扱っており、様々なニーズに合わせたセンサを選ぶことが可能です。
直近では2019年1月に直流3線式 E2E NEXTシリーズを発売しています。検出距離を従来品に比べて2倍以上伸ばし、同サイズ品よりも安定検出を実現しています。
- 住所:京都府京都市下京区塩小路通堀川東入 オムロン京都センタービル
- TEL:075-344-7000(本社)
- TEL:0120-919-066(制御機器・FAシステム問い合わせ用)
- お問い合わせフォーム:https://www.fa.omron.co.jp/contact/tech/
- URL:https://www.omron.com/jp/ja/
②株式会社キーエンス
株式会社キーエンスは、近接センサをはじめ、さまざまなセンサを取り扱うメーカです。Webサイトに各センサの特徴、用途がわかりやすく記載されているので、ニーズがはっきりしているのであれば一度見てみることをおすすめします。
- 住所:大阪府大阪市東淀川区東中島1-3-14
- TEL:06-6379-1111(本社)
- TEL:0120-100-470(各種問い合わせ用)
- URL:https://www.keyence.co.jp
③パナソニック株式会社
誘導形の近接センサを探しているなら、パナソニック株式会社の製品も一度見てみるといいでしょう。アンプ一体型のGX-300シリーズは、従来品に比べて性能が大幅にアップしており、高速のアプリケーションに対応できます。
- 住所:大阪府門真市大字門真1006番地
- TEL:06-6908-1121
- URL:https://www.panasonic.com/jp/home.html
④株式会社エヌエー
株式会社エヌエーは、磁気を応用したセンサ関連の機器を取り扱っている企業です。今回紹介した磁気形近接センサを多数取り揃えており、様々なニーズに合わせたセンサを選ぶことが可能です。
その他、無人搬送車(AGV)を誘導する磁気誘導センサも取り扱っています。
- 住所:静岡県浜松市浜北区新原3846-3
- TEL:053-587-0085
- URL:http://www.na-web.co.jp
(2)選ぶ時のポイント
近接センサを選ぶ時のポイントは、次に挙げる項目に注目して選びます。そこから生産現場ごとに細かい条件を詰めていくといいでしょう。
①設置環境
センサで検出したい場所が、液体や切粉などの飛散、温度や磁気といった環境の条件は気にしなければいけないポイントです。また、センサ周辺に検出対象以外の金属があると、検出性能に影響が出ます。
このように設置環境によっては近接センサの性能を十分に発揮できないことも考えられるので、よく検討しておく必要があります。
②検出対象
センサで検出したいものが、どのような材質なのかにも気を配らなければいけないポイントです。誘電形近接センサで検出したいものが金属製品であっても、磁性の有無で検出精度が変わってしまいます。
また、材質と合わせて合わせて検出対象の大きさにも注意しましょう。メーカが基本性能を定義している標準検出物より小さいものは、カタログ通りの性能を発揮できない可能性があります。
加えて、金属以外のものであれば、静電容量形近接センサで検出可能かなど、よく検討しておく必要があります。
③取付箇所
検出距離は、検出コイルの中心軸に対して垂直であることが前提条件です。そのため、精度よく検出するために、検出対象と検出コイルが垂直になるよう近づける必要があります。この条件を満たせない箇所に取り付けなければいけない場合は、検出精度が安定しない可能性があります。
(3)近接センサの導入事例
①誘導形近接センサ
検出対象の位置をモニタリングした予兆保全用途に利用されています。
金型クランプ時のスライダ前進端検出に利用されています。
金属製の搬送治具の通過位置検出に利用されています。
②静電容量形磁気形近接センサ
液体のレベル検出に利用されています。
③磁気形近接センサ
安全扉の開閉状態の検出に利用されています。
4.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツへ
近接センサは、その検出方式ごとに生産現場のあらゆる場所で活用されています。
今回ご紹介した導入事例はそんな中のほんの一部に過ぎません。もし、近接センサの導入に困っている場合は、この記事で紹介したメーカに速やかに相談するのがいいでしょう。
株式会社ストラーツでは、問合せにつなげる製造業ウェブサイトや記事の制作・納品までを行っています。
ウェブサイトや記事は広告と異なり、一度制作した後は、コストをかけなくても問合せ・リード獲得をし続けるという点が大きなメリット。
また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。
御社の問い合わせ・売上増に貢献いたしますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。