レーザ溶着のメカニズムを解説!導入時の注意点やおすすめメーカ3選

レーザ溶着はレーザ光の性質を利用し、高品質な樹脂溶着を可能とした溶着技術です。

外観も損なわれることがほとんどなく、より綺麗な製品を作り出せます。

しかし導入したからといって、すぐに何でも溶着できるわけではありません。素材や作り出す製品との相性次第では、全く溶着できないこともあります。

本コラムではレーザ溶着に視点を合わせ、基礎的な知識と導入事例を元に解説していきます。

具体的に導入を検討する方も事例を紹介していますので、本記事を見るだけでも参考となるでしょう。

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1.レーザ溶着のメカニズムとは?基本的な原理と優れた特徴について

レーザ溶着はたくさんある溶着技術の中でも、比較的新しい溶着技術です。

新しい技術だからこそ既存の技術にはない特徴があり、メリットがたくさんあります。

しかし樹脂の透過性が重要なポイントとなるため、導入時は透過材と吸収材が必要になる部分も押さえておきましょう。

(1)レーザ溶着のメカニズムとは

レーザ溶着は、レーザ光を用いて2つの樹脂部品を溶着する技術です。

  • レーザを透過する透過材
  • レーザを吸収する吸収材

レーザを照射すると透過材はレーザを透過し、吸収材はレーザを吸収して発熱します。

吸収材で発生した熱が熱伝導によって透過材へ伝わり、吸収材と同様に溶融。溶融した透過材と吸収材が混ざり合うため、冷却すると分子レベルで結合します。

またレーザ側に透過材、反対側に吸収材を配置しないと溶着が行えない点に注意が必要です。

(2)レーザ溶着に必要な透過率について

レーザ溶着では、工程の都合上、透過材に用いる樹脂の透過率が30%以上でなければいけません。

透過材側の透過率が30%を下回ると、透過材側の樹脂がレーザを吸収して溶融してしまい、レーザ溶着そのものが行えないからです。

透過率は、白や透明のほうが高く(厚みが1〜2mm程度なら40%以上)、黒やグレーは低く(=吸収率が高い)なっています。そのためレーザ溶着では、透過材側の樹脂には未着色材、吸収材には黒が用いられる、いわゆる白-黒溶着が一般的です。

もし、製品の仕様で、黒色同士を溶着する黒-黒溶着をしたい場合は、黒色ながら透過率が高い樹脂を選ぶ必要があります。

(3)レーザ溶着の優れた特徴

レーザ溶着の大きな特徴は、外観の向上です。

局所的な熱を発生させるのみなので、バリが発生しません。さらに熱起因の歪みも発生せず、薄い樹脂部品の溶着も容易です。

超音波溶着とは違って無振動のため、部品への悪影響は最小限に抑えられます。

また部品への影響が小さいので設計の自由度が高いです。今まで部品を制限されていた場合は、再設計を考慮してもいいかもしれません。

また溶着の工法では静音性が高く、雑音が少ない点もメリットです。

2.レーザ溶着の用途について!導入時の注意点や把握しておくべき欠点

レーザ溶着はその特徴から、多くの場面で使われています。非常にメリットが多く、生産効率のアップに大きく寄与するでしょう。

しかし優れている特徴を備えていても、導入障壁となる欠点もあります。

導入時の流れや注意点も重要になるため、用途や注意点を把握して入念な検討を行うようにしてください。

(1)レーザ溶着の用途とは

レーザ溶着は、さまざまな製品に利用されています。

外観の美しさが求められ、たくさんの人が目にする車のテールランプが代表的な用途です。また高い気密性から、防水性能が要求されるセンサーや流体回路にも使用されます。

レーザ溶着はバリが発生せず、接着剤や添加剤が要りません。そのためクリーン度が求められる回路にも使用可能です。例えば車載品や医療機器のように、精度の高さが要求される製品に向いています。

(2)レーザ溶着の欠点

レーザ溶着は、溶着の精度や溶着面の管理が必要になります。レーザ溶着は加圧工程がなく、レーザの集光径が小さいからです。

また、溶着の精度は、部品厚の10分の1程度以内に収めなくてはいけません。

管理が曖昧だと、溶着部にクラックのような欠陥を発生させる恐れがあります。

欠陥発生を防ぐためには、レーザ溶着に必要な治具の活用が重要です。

またレーザに対する安全対策を怠ってはいけません。レーザは目に見えないうえ、反射する特性があります。火傷の恐れだけではなく、レーザを見つめると網膜が損傷し、失明する危険性もはらんでいるのです。

保護メガネの着用を始めとした安全対策は欠かせません。

JIS規格で「レーザ製品の安全基準」JIS C 6802が定められているので、参考にするといいでしょう。

(3)導入時の流れや注意点について

レーザ溶着機を導入する際は、メーカに問い合わせを行いましょう。

樹脂部品の種類や厚み、加工時間のような複数の仕様をメーカと確認します。

メーカが仕様に合った機種を選定し、サンプルテストを実施。できあがった試作品を確認します。

伝えていた仕様はもちろん、強度や密閉性のような基本的な要素も確認するといいでしょう。

また導入の際の注意点は、当然ながら疑問の解決が1番です。不明な点や疑問があれば、導入の前に必ず確認しておきます。

さらにサンプルテストで妥協しない点も重要です。仕様を満たしていても、想定していなかった問題の発生もあり得ます。

サンプルテストを繰り返して、必ず満足できるものを作成しましょう。量産体制に入ってから修正すると、途方もない工数がかかる恐れもあります。

3.レーザ溶着の活用事例を参考にして実際の導入をシミュレーション!

この項目では、レーザ溶着の具体的な活用事例を3つ紹介します。

従来の溶着では生産効率が頭打ちになっていても、レーザ溶着の導入で大きく改善される可能性もあります。

どのような活用をしているのか事例を検討できれば、より詳細な導入イメージが行えるでしょう。

(1)従来の溶着からレーザ溶着へ

従来の溶着を利用していた工場では、生産効率の向上を課題としていました。(接着剤による溶着や超音波溶着、熱板溶着といった方法があります)

しかし従来の溶着は欠点があり、生産効率を上げるために課題となる場合も。

例えば接着剤を使用するとコストや乾燥時間がかかったり、超音波溶着では製品へのダメージが懸念されたりします。

また熱板溶着では、小型ワークへの活用が難しい点も懸念されるでしょう。

レーザ溶着を導入すると製品への振動や熱によるダメージがなくなり、微細な加工も容易に対応可能です。

加工時間が短縮される場合も多く、工数に余裕が生まれます。

(2)ヒートシンク式レーザ溶着

ヒートシンク式レーザ溶着の導入例を紹介します。熱板溶着を利用していた工場の例です。

利用していた従来の熱板溶着では、ガス被毒のリスク回避のために、工程を増やす・作業者の熟練度を向上させる、といった対策が必要でした。また、無色の材料同士を溶着するため、一般的なレーザ溶着もできない環境でした。

そこで導入したのがヒートシンク式レーザ溶着です。

ヒートシンク式レーザ溶着は、透過材側にヒートシンクと呼ばれる部材を設置し、レーザを照射します。1つ目の樹脂部品に発生する熱を、ヒートシンクが瞬時に奪っていく構造です。

これにより、同工場では、1つ目の樹脂部品にダメージを与えずに、樹脂部品同士を強固に溶着できるようになりました。

(3)自動車のテールランプ

自動車のテールランプ生産において、レーザ溶着が活躍しています。

さまざまな自動車がある中、テールランプのデザインは自動車の中でも個性が出る部品です。

レーザ溶着は、人目に触れても問題ない溶接線を実現しました。クオリティの高さは、溶接線すらデザインの一部として組み込まれるほどです。

また微粒子が発生しないので、後続車への視認性を上げられます。

安全性が最重要視される自動車において、レーザ溶着はテールランプの生産に革命をもたらしたと言っても過言ではありません。

4.レーザ溶着機を販売しているおすすめメーカ3選

最後にレーザ溶着機を販売しているメーカを3社ご紹介します。導入に際してお困りの場合、相談にも随時載っていただける企業ばかりです。どのような機種を選んだらいいかわからない…という方は、下記の3社から検討してみてください。

(1)日本エマソン株式会社 ブランソン事業本部

ブランソンは超音波機器において業界を牽引する企業で、世界規模のビジネスを展開しています。レーザ溶着機も開発しており、主力製品はGLXシリーズです。

(引用:EMERSON オートメーションソリューションズBranson GLX-3

赤外線レーザを用いた溶着機で、ブランソンが唱えるクリーン溶着技術の1つ。粉塵やバリを発生させず、短い作業時間と製品に生じるソリに対して安定した溶着を実現する沈み込み溶着が特徴です。

住所:神奈川県厚木市岡田4-3-14
TEL:046-228-2881(代表)
URL:https://www.branson-jp.com/

(3)株式会社広島

株式会社広島は日本を拠点とする国産メーカで、研究開発向けの実験装置や生産設備を設計・製作しています。ガルバノスキャニング方式レーザを搭載した生産装置が主力です。

(引用:株式会社広島 レーザ樹脂溶着装置生産機

治具テーブルをスライドさせる構造で、製品のセットや治具の取り替えが容易にできます。またレーザヘッドを装置内に収納し、外部からは見えません。作業者にとって作業性と安全性が高く、扱いやすい製品です。

住所:愛知県名古屋市緑区大高町寅新田41
TEL:052-629-0020
URL:http://hiroshima-web.com/

(4)デュケインジャパン株式会社

デュケインジャパンは超音波溶着や振動溶着で、独自の高度な技術を持つ企業です。プラスチック用レーザ溶着機も開発しています。

(引用:デュケインジャパン 透明同士の溶着も可能なプラスチック用レーザー溶着機

レーザ吸収用の添加剤なしで、ナチュラルや透明同士の溶着が可能です。また、内部にCCTVカメラを搭載し、タッチパネル上で製品の様子を確認できます。レーザ溶着機は1機種のみですが、機能がふんだんに搭載されたハイスペックモデルと言えるでしょう。

住所:千葉県柏市根戸206-3 北柏ビル1F
TEL:04-7136-2165(代表)
URL:https://www.dukane.jp/

5.レーザ溶着導入に関するご相談は日本サポートシステム

さまざまな場面でレーザ溶着は高品質な樹脂溶着を可能とするため、今多くの工場で導入が進んでいます。

しかし実際に導入する際、載せ替えるように自社の製品へ適応できるとは限りません。

特に超音波溶着や接着剤接合からレーザ溶着を検討する場合は、樹脂の色を変更できずレーザが透過しない場合があります。

そのため自らの知識で導入を進めるよりも、あらゆる環境へ導入を進めてきたメーカへ相談するのも1つの手です。

株式会社ストラーツでは、問合せにつなげる製造業ウェブサイトや記事の制作・納品までを行っています。

ウェブサイトや記事は広告と異なり、一度制作した後は、コストをかけなくても問合せ・リード獲得をし続けるという点が大きなメリット。

また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。

御社の問い合わせ・売上増に貢献いたしますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。