工程分析とは?手法や成果を上げるコツ、おすすめの相談先を紹介

1920年代にアメリカから日本に伝わったインダストリアルエンジニアリングの考え方は、製造業の生産性を向上させるための手法として再注目されています。

今回は、インダストリアルエンジニアリングの中で基本ともいえる工程分析について、詳しく解説していきます。基本的な知識から具体的な手法、工程分析で成果を上げるためのコツと注意点まで紹介するので、工程分析を実践するときの一助としてください。

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1.工程分析とは何か?

(1)インダストリアルエンジニアリング(IE)の概要

インダストリアルエンジニアリング(IE)は、工場内の工程や作業を分析する手法です。日本では「生産工学」と呼ばれることもあります。生産管理の最適化を目的として行われており、工程や作業のムダな動作などを発見して改善していきます。

インダストリアルエンジニアリングの手法は、「方法研究」「作業測定」「方法研究と作業測定の組み合わせ」の3つに大きく分かれています。本記事のテーマである工程分析は、「方法研究」の1種です。

(2)工程分析とは?

工程分析は、製品が完成するまでの各工程の流れや人の作業の流れに注目して分析することで、問題点や改善点を見つける手法です。

材料が製品になるまでの一連の流れをまとめて分析するのではなく、工程ごとに細分化して詳しく分析することで、問題点や改善点を見つけやすくなります。

工程分析では、工程を次の4種類に分類して、それらの順序を図示した後に詳しく分析していくのが一般的な流れです。

①加工

材料が製品になるまでに行われる加工です。製造現場では、唯一付加価値を生む工程であり加工の生産性を高めることは極めて重要であるといえます。

②運搬

材料を倉庫から取り出す、ある工程から次の工程へ移動するといった、製品の移動に関する工程です。運搬は付加価値を生んでいないため、なるべく運搬自体をなくしたり、ムダを削減することで生産性は向上します。

③検査

寸法検査や外観検査、特性検査といった製品の品質をチェックする工程です。不良品の流出を防ぎ、製品の品質を担保するために不可欠な工程ですが、人の目による全数検査など、ムダが多い工程でもあります。

④滞留

加工・運搬・検査のいずれも行われていない状態のことです。ある程度の滞留は生産設備や作業者の手待ち状態を避けるために必要ですが、滞留が長すぎるとムダを生んでしまいます。

(3)工程分析によるメリット

工程分析を正しく行って問題点や改善点を発見し、改善することによって製造現場は次のようなメリットを得ることができます。

  • 生産工程の合理化
  • 生産リードタイムの短縮
  • 各工程での工数削減によるコストダウンや省人化
  • 仕掛り在庫の削減
  • 生産設備の配置の合理化

2.工程分析の手法

工程分析は、分析の対象や分析の仕方が異なるさまざまな手法があります。どのような手法があるのかみてみましょう。

(1)工程分析図

工程分析図は、1つ1つの工程内での細かい作業の流れを記号を使って視覚的に分かりやすく整理する手法です。

加工は「○」、運搬は「→」、検査は「□」、滞留は「▽」といった記号を使って、作業の流れを体系的に図表化します。

例えば、トレーから部品を取り出して加工機にセットし、加工後に目視検査をして別のトレーに移すという工程があった場合は、次のような工程分析が行われます。

  1. トレー内で滞留:▽
  2. 部品取り出し:→
  3. 加工機にセット:→
  4. 加工:○
  5. 加工機から取り出し:→
  6. 目視検査:□
  7. トレーに移す:→
  8. トレー内で滞留:▽

作業を細分化して見ると、加工以外の作業が非常に多いことが分かるのではないでしょうか。作業の流れだけでなく、所要時間や移動距離も情報として加えることで、より分析がしやすくなります。

(2)工程経路図

工程経路図は、ある製品が完成するまでの工程や作業の流れを、記号を使って視覚的に分かりやすく整理する手法です。

工程分析図と同じく、加工は「○」、検査は「□」といった記号を用いて流れを記入していきます。工程や作業の内容、所要時間、移動距離といった関連情報も記入することで、より分析がしやすくなるでしょう。

工程分析図では各工程内でのムダな作業を分析しますが、工程経路図では、類似工程の存在や工程間の運搬・滞留の状態などを把握できます。

(3)流れ線図(フローダイヤグラム)

流れ線図(フローダイアグラム)は、工場や設備のレイアウト図の上に作業の流れに沿って記号を記入する手法です。

運搬回数や運搬距離、ムダな運搬が浮き彫りになるため、運搬作業の問題点や改善点を洗い出すために適した手法となっています。また、設備や作業台などのレイアウトを見直す際にも役に立ちます。

多品種少量で、各品種の工程や作業の流れが異なるジョブショップ型の製造現場の改善によく用いられています。

(4)類似工程分析

類似工程分析は、複数の製品の工程経路図を並べて比較することで、類似の生産工程がないかを見つける手法です。

生産工程が類似している製品群を1つのグループとして管理することで、改善効果を大きくしたり、工場内のレイアウトを検討しやすくなります。

3.工程分析で成果を上げるためのコツと注意点

(1)実態に合った工程分析を行う

製造現場では、マニュアルと実態が異なっている場合があります。マニュアルを元にしたあるべき姿を元に工程分析を行ってしまうと、正しい分析が行えない可能性があるので注意が必要です。

工程分析を行うときは、必ず実態を確認しなければならないと覚えておきましょう。作業者にヒアリングした内容を鵜呑みにするのではなく、実際の作業風景を見て事実確認することが重要です。

(2)分析対象を正しく設定する

工程分析の分析対象は、製品か作業者で大きく分けることができます。製品の場合を製品工程分析、作業者の場合を作業者工程分析と呼びますが、分析対象をどちらにするかで分析結果が異なる場合があります。

製品工程分析は、複数の作業者や設備が関わって製品が完成する工程を分析するのに適しています。一方で作業者工程分析は、1人の作業者が場所や設備を変えながら製品を完成させていく工程を分析するのに適しています。

自社の工程がどちらに属するかを判断して、正しい分析対象を設定する必要があると覚えておきましょう。

(3)分析だけで終わらず改善をセットで行うこと

工程分析はあくまでも分析です。分析した結果見えてきた問題点や改善点を解消する行動が伴って初めて成果を上げることができます。

改善するための視点として、4つの単語の頭文字をとった「ECRS」または「ナナトヤ」という言葉があります。工程分析のみでなく、製造現場の改善全般に役立つ言葉なので、ぜひ覚えておいてください。

ECRS(ナナトヤ)改善の視点
Eliminate:削除 または ナクス作戦加工や作業をなくす、検査をなくす、運搬をなくす、運搬回数を減らす、滞留をなくす、など
Combine:結合 または ナガラ作戦他の加工や作業と一緒にする、加工と同時に検査をする、運搬中に加工や検査をする、滞留中に他の作業をする、など
Rearrage:再編成 または トリカエ作戦工程の順序を変える、設備や作業場所の配置を変える、ロボットで自動化する、治具や自動機で検査する、など
Simplify:簡素化 または ヤサシク作戦作業内容を簡単にする、過剰品質を適正に戻す、など

また、工程分析は一度実施して終わりではありません。定期的に見直すことによって生産性を更に向上できる可能性もあるため、ルーティンワーク化することが好ましいでしょう。

4.IEを進める上でおすすめの相談先

最後に、インダストリアルエンジニアリングを進める上で、おすすめの相談先として、株式会社日本能率協会コンサルティングをご紹介します。

株式会社日本能率協会コンサルティングは、創業から80年近い歴史を持ち、日本の経営コンサルティングの草分け的な存在です。人の「能力」、設備の「性能」、材料の「機能」を活かしきるための科学的管理技術を意味する「能率」を社名に掲げ、製造業のコンサルティングを行っています。

  • 住所:東京都港区芝公園3-1-22 日本能率協会ビル7階
  • TEL:03-4531-4300
  • URL:https://www.jmac.co.jp/

5.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツ

本記事では、工程分析の概要や具体的な手法、工程分析で成果を上げるためのコツや注意点について解説しました。

工程分析は歴史のある考え方ですが、製造業の生産性向上が課題となっている今、再注目されています。本記事を参考に、工程分析をして自社の製造現場の改善に取り組んでいただければ幸いです。

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また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。

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