レーザ溶接の仕組みは?導入のメリットやおすすめの機械メーカ5選

レーザ溶接とは、レーザ光を利用して金属同士を溶接する技術です。

多くの現場で使用されている、アーク溶接やガス溶接とも違う原理や特徴を持っています。とはいえ「導入に興味があるけど、一体どんなものなのかまだわからない」という担当者の方も多いのではないでしょうか。

当記事ではレーザ溶接の仕組みやメリット・デメリット、レーザ溶接機の構造、おすすめの販売メーカなどについて解説します。

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1.レーザ溶接の仕組みって?気になる原理やアーク溶接との違い

高温の熱を利用して金属を溶解させる点では、レーザ溶接もほかの溶接方法と同じです。しかし、アーク溶接やそのほかの溶接とはまったく異なる原理でワーク同士を溶着させます。

以下では、レーザ溶接の原理や種類、アーク溶接との違いを見ていきましょう。

(1)レーザ溶接の原理・仕組み

レーザ溶接は、レーザ光を熱源として金属を溶解させて接合する方法です。

レーザ光は普段私たちが目にする光と違い、一定方向に集中して進んでいきます。普通の光よりもエネルギーが減少しにくく、電気熱やガス熱よりも特定の点に力を集中させることが可能です。

まず原子や分子に外部からエネルギーを与えることで、低いエネルギー状態(下準位)から高いエネルギー状態(上準位)に移らせる励起(れいき)が起こります。この励起状態から戻ろうとする動きのときに、高い状態と低い状態のエネルギー差によって光を放出します。

放出された光がほかの励起状態の原子に衝突⇒同じく光を放出、という動きを何度も繰り返してエネルギー量を増やしつつ、一定方向に光が導かれることでレーザ光が発生するのです。

またレーザ光は光の波長が均一かつ、位相も一定しています。この特徴によって、レーザ光は密度性の高いエネルギーを得ることが可能です。

一点に力を集中させる溶接方法はほかにも「スポット溶接」が挙げられますが、スポット溶接はセットしたワークの上下から圧力を加えながら通電して得た電気抵抗で金属を溶かし、点と点をつなげる方法です。レーザ溶接の原理やメリットとは異なります。

(2)レーザ溶接の種類(Co2・YAG・ファイバレーザ)

レーザ溶接は、主に「Co2レーザ」と「YAGレーザ」に分けられます。

Co2レーザとは、二酸化炭素をレーザの媒体に使用したガスレーザ(気体レーザ)の1つです。レーザ発振器のなかにある二酸化炭素を窒素やヘリウムと混合しながら励起が起こすことでレーザ光を照射します。非常に安定したエネルギー効率のよいレーザ溶接です。

一方、YAGレーザとは「イットリウム(Yittrium)」「アルミニウム(Aluminum)」「ガーネット(Garnet)」の頭文字を取って名付けられた固体レーザです。これら3種の結晶体に微量の「ネオジム(Nd)」を添加して励起状態を起こし、レーザ光を照射します。Co2レーザより高価である代わりに、より高いエネルギー効率が得られます。

近年では「ファイバーレーザ溶接」という手法も登場してきました、ファイバーレーザ溶接とは、増幅媒体に光ファイバを用いた固定レーザによる溶接です。集光が高い高品質のビームやCo2・YAG以上のエネルギー効率、優れた設置面積等によって、より高品質かつスピードに優れた溶接を実現しています。

(3)アーク溶接との違いとは?

アーク溶接とは、空気中に発生する放電現象であるアーク放電の熱を利用した溶接方法です。溶接機の電極と母材に電圧をかけて両者の間にある空気の絶縁を破壊し、そのときに発生する大量の電流熱によって金属を溶融し接合を行います。

アーク溶接はレーザ溶接よりも広範囲に熱が加わります。しかし絞り込みや局地的な溶接に関してはレーザ溶接のほうが向いているでしょう。

近年では、アーク溶接とレーザ溶接のシステムを融合したハイブリッド型の溶接機も登場し始めました。

2.レーザ溶接の特徴

レーザ溶接の特徴(メリット・デメリット)として、主に以下の5つが挙げられます。

  • 高密度のエネルギーによる深い溶接
  • 周囲に与える熱影響の少なさ
  • コンピュータやロボットを利用した自動制御の容易さ
  • 溶接機が高価
  • 溶接管理が困難

順番に見ていきましょう。

(1)高密度のエネルギーによる深い溶接の実現

レーザ溶接は熱エネルギーが集中するので、アーク溶接よりも数倍早い速度で溶接できます。狭い溝や穴の底面、内角の隅肉の肉盛にも対応可能です。また非常に高いパワー密度とエネルギー密度によって、融点が違う異材同士を融解させて溶接できます。

レーザ溶接による異材接合に関しては、さまざまな技術センター等で研究やセミナーが行われるほど、注目の技術でもあります。

深い溶け込みになるカギは「キーホール」です。

レーザのエネルギーが集中している箇所では、レーザから得た熱と激しい蒸発の蒸発反力によって加工点にキーホールと呼ばれる穴が発生します。このキーホールはレーザ光が金属の奥まで届くようになるため、アーク溶接では難しいより深い溶け込みの溶接が可能になるのです。

(2)周囲に与える熱影響の少なさ

レーザ溶接は「熱エネルギーが集中」や「エネルギー量のコントロールしやすさ」、さらに「短い溶接時間」などの特徴があることから、周囲に与える熱影響が非常に少ない溶接方法です。

熱影響の少ないと、次のようなメリットがあります。

  • 母材ならびに溶接部の余計な変形を防げる
  • 薄い材料などの溶接加工が容易に行える

例えばアーク溶接では難しい電子機器のマイクロ接合のような微細な接合であっても、レーザ溶接だと対応できます。

(3)コンピュータやロボットを利用した自動制御が可能

レーザ溶接はコンピュータを利用して、焦点やレーザ出力、溶接継ぎ目位置などを制御できます。また「母材との非接触による電極メンテナンスの不要」や「待機中での使用可能」などの特徴もあるため、ロボットや製造ラインに組み込んだ自動制御化(FA化)が進めやすいです。

2021年現在ではAI技術やモニタリングシステムを駆使して、加工状態をフィードバックしながら自動で溶接できるレーザ溶接方法も研究されています。

(4)溶接機が高価

レーザ溶接では、レーザ溶接機を用いて作業を行います。しかしこの装置は、レーザ発振器や集光系などを用いた精密光学機器であり、さらにさまざまなコンピュータシステムを導入したタイプも多いため、非常に値段が高価であることが多いです。1台で数百万単位になることも珍しくありません。

そのため、多くの場合は高精度かつ高品質の溶接が求められるなど、特定の製造での用途が主な使い道になります。

(5)溶接管理が困難

レーザ溶接は密着の精度や溶接面の管理を怠ると、溶接不良や欠陥につながりやすい繊細な技術です。また強い光を扱うことから、作業者の安全についての管理体制も整えなくてはなりません。

溶接管理が不全である場合のリスクを見ていきましょう。

  • 接合部にポロシティ(発生した気泡が原因の欠陥)やクラックが発生しやすい
  • 過剰なエネルギーが原因によるスパッタが発生しやすい
  • 母材の微小な隙間や凹凸が原因で溶接精度が落ちる
  • レーザ光によって眼が損傷する
  • 作業中に誤ってレーザ光に手が巻き込まれる など

上記のようなリスクに対応できるような対策を取る必要があります。厚生労働省の「レーザー光線による障害防止対策要綱」も事前にチェックしておきましょう。

3.レーザ溶接の導入事例

レーザ溶接は、自動車業界の部品づくりや電池ケースといった電子製品の製造などで用いられます。以下では実際にレーザ溶接機を導入した企業の導入事例について、経済産業省の「ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック」をもとにご紹介します。

(1)導入事例1.株式会社中野屋ステンレス

株式会社中野屋ステンレスが、4つの溶接工程にファイバーレーザ溶接ロボットを導入した事例です。

従来は「スポット溶接(手動)」「TIG溶接」「YAGレーザ溶接(手動)」「仕上げ研磨(手動)」の4つのロボットを1列に配置し、ハンドリングロボットでワークを移動させるという大掛かりな仕組みが必要でした。また熟練工による技術がなければ、品質維持が難しいという問題も出ています。

しかし、導入したロボットはレーザビームの形状を変幻自在に変えられるロボットであるため、1台でさまざまな溶接に対応できるようになりました。

さらに入社1年目の社員の操作であっても、高品質な溶接が可能です。生産効率も、1日16個の製造が44個まで増えるなど飛躍的な向上となっています。

参考:経済産業省|ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018

(2)導入事例2.株式会社タカノ

株式会社タカノが、熟練工の手作業によるアルミニウム溶接作業を、レーザ溶接機をもたせた垂直多関節ロボットによる溶接に変更した事例です。

これによりロボットによる複雑形状の溶接が可能になり、労働生産性も2倍に向上しました。また溶接品質の安定化にもつながっています。熟練技術者の不足解消の見込みが立っています。

参考:経済産業省|ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2017

4.レーザ溶接機の構造

前述の通り、レーザ溶接では、レーザ溶接機と呼ばれる装置を用いて作業を行います。

レーザ溶接機に用いられる主な装置は次のとおりです。

  • レーザを発生させる「レーザ発振器」
  • レーザの光をトーチに導く「光路」
  • レーザの光を集めて調整する「集光光学系」
  • 溶接部と空気の接触を断ち酸化等の反応を防ぐ「シールドガス系」
  • ワークを動かす「駆動系」

続いて、レーザ溶接機の構造と溶接の原理を見ていきましょう。レーザ溶接機のメカニズムは次のとおりです。

  1. レーザ発振器のミラーによる反射と励起用の光源を利用し、光を往復させて一定方向の強い光に増幅させる
  2. 一定以上の強さに到達後、ミラーを透過した光が光路を通って集光部へ集められる
  3. 集光部から出る熱エネルギーとシールドガス、ワークを動かす駆動部によって溶接を進める

また、レーザ溶接機へモニタリングシステムを導入することで、リアルタイムで溶接具合や溶接欠陥の有無をチェックしながら溶接が進められます。

5.レーザ溶接機を取り扱うメーカ5選

ここからはレーザ溶接機を取り扱うメーカを5つご紹介します。導入を検討されている場合はぜひ参考にしてください。

(1)テクノコート株式会社

テクノコート株式会社は「地球に優しいエコマシン」を掲げ、コスト低減と生産性の向上を達成できる製品を開発するメーカです。
テクノコートが取り扱うTLシリーズは、「パルス状スポット照射」や「欠陥発生を低減・抑制するシールド」「肉盛量のコントロール」などによって、さまざまな形状や金属の溶接を可能にしています。カラー液晶タッチパネルを使用した操作性のよさも魅力です。

【製品情報】
TLシリーズ:〈Pulse YAG Laser〉TL-50/100/150/200

(2)株式会社エイム

株式会社エイムは、「溶接技術で未来をひらく」を掲げ、さまざまなレーザ溶接や自動溶接治具の開発ならびに、金属加工対応を行っているメーカです。
取り扱うファイバレーザ溶接機は、優れた溶接スピードや切断溶接などを実現した高性能な溶接機です。ロボットとトーチを連動させることもできます。導入した企業からは「きれいな仕上がりや作業効率の改善につながっている」と好評を博しています。

【製品情報】
AFLシリーズ:600/800/1000/1500

(3)UK JAPAN株式会社

【特徴】
UK JAPAN株式会社は、精密レーザ溶接や加工機に関する専門メーカです。YAGレーザとファイバレーザの溶接機を取り扱っています。
「チラー一体型ファイバレーザUW-SxxC」は、低価格・高いユーザビリティー・汎用性・省スペースを実現したモデルです。溶接機は日本だけでなく中国でも高い評価を得ています。

【製品情報】
・ファイバレーザUW-Sシリーズ
・YAGレーザUJシリーズ

  • 住所:東京都品川区西五反田7丁目22番17号 TOCビル10F-36号
  • TEL:03-5719-3802
  • URL:https://uw-j.co.jp/

(4)株式会社レーザックス

株式会社レーザックスとは、「レーザ加工・レーザ周辺機器でお客様に貢献するものづくりカンパニー」を掲げたメーカです。レーザ加工歴36年以上の老舗であり、レーザ溶接だけでなくレーザに関するさまざまなノウハウを持っています。

取り扱うファイバーレーザ溶接「OPTICEL FH」は、薄板溶接であってもひずみが発生しない溶接を可能としています。また熟練工でなくても高品質の溶接やメンテナンスを可能にしているため、熟練工不足で悩む現場にはピッタリの製品といえます。

【製品情報】
OPTICEL FH:150/300/450

(5)株式会社キーエンス

1974年創業の株式会社キーエンス。FA用のセンサを取り扱う企業ですが、溶接機に関してもIoT化に対応しているなど、高い技術を提供しています。

6.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツ

レーザ溶接機は、非常に高性能かつ自動化にも対応しています。

そのためには、まず基本的な部分をしっかりおさえておくことが大切です。それによってメーカに相談したとき、話がスムーズに進みやすくなります。

株式会社ストラーツでは、問合せにつなげる製造業ウェブサイトや記事の制作・納品までを行っています。

ウェブサイトや記事は広告と異なり、一度制作した後は、コストをかけなくても問合せ・リード獲得をし続けるという点が大きなメリット。

また、ストラーツには製造業の技術部門経験を持つライターが多数所属しており、高い専門性とSEOを両立しています。

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