自動運転車両やロボットなど自動機械が増えてくると、懸念されるのが人や物との接触です。これを避けることができるのが距離センサです。
ただし、距離センサにも種類があり、環境によって向き不向きがあります。この記事では、距離センサに関して、原理や用途など基本的な内容を紹介します。
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1.距離センサとは
(1)距離センサとは何か
距離センサは、ある地点までの距離を測定するセンサで、測距センサやTOFセンサ(Time of Flight)とも呼ばれます。センサから飛ばした電波やレーザ光が、対象物から反射して戻ってくる時間を計測する機器です。
距離測定はもちろんのこと、その特性を生かして立体の寸法を測定したり、衝突を防止したりと幅広く利用されています。
(2)距離センサの種類と原理
①光学式
代表的なのはレーザを用いた距離センサです。LiDAR(Light Detection and Ranging)とも呼ばれます。
光源であるレーザと受光部で構成されています。対象物に照射したレーザ光が散乱や反射することによって、受光部へたどり着くまでの時間を測定します。
検出速度が速く小型の物体でも測定できることが特徴です。
②電波式
ミリ波を主に使用する電波式は、RADAR(Radio Detection and Ranging)とも呼ばれます。
送信アンテナから複数本の受信アンテナへ電波を送信します。対象物へ当たった時に変化する電波の受信時間や位相差から距離を算出します。
屋外において天候の影響を受けにくいのが特徴です。
③超音波式
対象物に超音波を当てて返ってくるまでの時間を計測します。
測定環境に影響されにくく、機器も小型で扱いやすいことが特徴です。例えば、粉塵環境やミストが飛んでいる場所などでも使用可能です。
(3)距離センサの導入事例
①寸法測定
距離センサは、物体からの距離を測定できるため、寸法測定を行うときによく用いられます。主にレーザ式の距離センサを用いて、細かい部分まで測定を行います。具体的には、厚みや幅、高さ、段差、外形、内径などです。
②自動運転車両、ロボットの位置制御
無人の車両やロボットは、人・物との接触を避けなければなりません。その際に必要となるのが対象物との距離関係です。
ミリ波の距離センサは悪天候でも強い特性を持つことから、高度運転支援システム(ADAS)における前車追従に役立てられています。またレーザー式の距離センサが、走査線測定など自車位置特定に用いられています。
ロボットに関しては、寸法測定のときと同様に、レーザ式の距離センサが主に使用されます。対象物までの距離を判断し、ロボット自身が今どの位置にいるのか把握できるようになります。
2.距離センサの代表メーカ3社とそれぞれの主力製品
次に距離センサの代表メーカや製品について、ご紹介します。
(1)株式会社キーエンス
キーエンス社では、レーザ変位計という名前で、光学式の距離センサを取り扱っています。測定範囲によって1次元~3次元まで幅広い製品種類を取り揃えていることが特徴です。インラインのみならず、ステージに置くだけで寸法測定ができる機器も販売しています。
(引用:画像寸法測定器IM-8000 シリーズ)
(2)オムロン株式会社
レーザ式、LED式、超音波式など幅広い種類の距離センサを取り扱っています。また、平坦度計測用といったある用途に特化した製品も取り扱っていることも特徴です。
(引用:超音波変位センサ E4PA-N)
(3)北陽電機株式会社
キーエンスやオムロンよりは製品数が少ないですが、長距離のレーザセンサに強いメーカです。専用反射板を用いると180mまで測定できる製品もあります。長距離だけでなく、2.5mや10mの距離といった幅広い範囲に対応できるセンサを揃えています。
(引用:PGL-050/180W3)
3.距離センサを導入するときのポイント
距離センサは光、電波、超音波と幅広い媒体を使用することから、環境によって向き不向きがはっきりと分かれてきます。そのような違いを踏まえて、導入におけるポイントをいくつか紹介します。
(1)使用環境
距離センサの種類と原理でも触れていますが、環境によっては使用できないセンサもあります。
光学式は霧や埃が舞うような環境では使用が難しいです。一方で電波式や超音波式は幅広い環境で使用できます。
(2)検出対象物
距離センサは、それぞれの方式によって、検出できないものがあります。
方式 | 検出できないもの |
光学式 | レーザ光を透過(アクリルやガラスなど)や吸収するもの |
電波式 | プラスチックをはじめとする非金属 |
超音波式 | スポンジや発泡剤といった音を吸収するもの(一方で、色影響は受けないため透明な物質の測定が可能) |
(3)応答速さ
音は340m/sで進み、光や約30万km/sで進みます。そのため、光学式と超音波式では、応答速度に差があります。距離センサを導入する目的を考え、超音波の精度で良いのか、光の精度が必要なのか考えなければなりません。
4.距離センサ導入時に頼りになるメーカ3選
(1)日本システム開発株式会社
日本システム開発株式会社は、システムインテグレータ事業と電子機器事業の2つを手がけています。超小型変位センサーを開発するなど、センサに関する知見も深いです。距離センサに関する相談に対して、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
- 住所:徳島県徳島市庄町5-81-80
- TEL:03-5471-5921
- URL:https://www.jsdnet.co.jp/
(2)株式会社MIRAI-LAB
株式会社MIRAI-LABは、ロボットを用いた自動化設備の、構想から設計までを担ってくれる会社です。2Dや3Dのシミュレーションを作成したうえで、必要に応じて3Dプリンタを用いたハンドの試作なども行って細かい設計を行います。また、ロボットのティーチング請負や技術者の人材派遣なども行っています。
- 住所:名古屋市中村区名駅1丁目1−3JRゲートタワー43F
- TEL:052-446-6377
- URL:https://www.mirai-lab.co.jp/
(3)株式会社日立ケーイーシステムズ
株式会社日立ケーイーシステムズは、FAシステム技術のみならずIoTソリューション技術にも力のある会社です。ロボットやPLC、インバーターなどのシステム機器に関する知見もあり、距離センサーを用いた高度なセンシング技術を利用したい場合には最適です。自動台車の走行台車システムを手がけた実績もあります。
- 住所:千葉県習志野市東習志野7-1-1
- TEL:047-477-3111
- URL:https://www.hke.jp/index.htm
5.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツへ
今回は距離センサの基本的な事項を説明しました。
測定原理ごとに制約が多く、実際に導入しようとした場合には専門家の意見を聞くことで確実な導入に繋げることができます。
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