位置を検出できるセンサとは、物体の有無・接近状態を電気信号に置き換えたり、原点に対して具体的な位置制御を行える機器です。FAの分野では、物体の有無を検出する単純な用途から、ワークやステージの位置決め、サーボモータの位置制御などに利用されています。
位置を検出できるセンサの種類は多岐にわたりますが、使いたい環境によって左右されるので何を選んだらいいのか悩ましいものです。
そこでこの記事では、位置を検出することに利用できるセンサの種類と検出方式、選ぶ時のポイントを、図を交えて解説しています。また、センサの導入例も紹介しているのでご参考ください。
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1.位置を検出するセンサの種類
冒頭でも説明したように、位置を検出できるセンサは多岐に渡ります。分類方法はさまざまですが、FA機器の制御方式はシーケンス制御なのかフィードバック方式なのか、検出方式は接触式なのか非接触式なのか大別するのが一般的です。
(1)シーケンス制御とフィードバック制御
FA機器を自動制御するには、大別するとシーケンス制御とフィードバック制御があります。この2つの制御方法の違いによって、求められるセンサの役割が変わります。
シーケンス制御はあらかじめ決められた動作を行う制御方式です。そのため、センサには、ある動作条件が成立するように物体などの有無を検知することが求められます。例えば、ある位置に物体が到達したことをセンサが検知して、次の動作に入る条件を成立させるといった使われ方をします。
フィードバック制御は状態の変化を監視して調整を行う制御方式です。そのため、センサには、ある制御対象をコントロールできるように検出対象の変化量を検知することが求められます。例えば、あるモーターの回転数をセンサが検知して、現在の送り速度や位置を出力するといった使われ方をします。
(2)接触式と非接触式
センサは、検出方式で大別すると、検出対象に触れる接触式と検出対象に触れない非接触式に分けられます。
接触式は高い精度で検出できるのが特徴です。検出を行うための媒体として力学的エネルギーが用いられます。主な検知対象はアクチュエータで、マイクロスイッチ・リミットスイッチ・コンタクトスイッチといったセンサがあります。
一方、非接触式は測定対象を傷つけずに検出できるのがメリットです。検出媒体には、光エネルギーや電気エネルギーが用いられます。検知対象は光量や金属体などさまざまで、それぞれによって用いられるセンサが異なります。
(3)位置を検出できるセンサ一覧表
以上を踏まえ、センサの種類を下記の表にまとめてみました。
制御方式 | 検出方式 | 検出媒体 | 検知対象 | センサ種類 |
シーケンス制御 | 接触式 | 力学的エネルギー (機械的エネルギー) | アクチュエータ | ・マイクロスイッチ ・リミットスイッチ ・コンタクトスイッチ |
非接触式 | 光エネルギー | 光量 | 光電センサ | |
電気エネルギー | 金属体 | 近接センサ | ||
電気エネルギー | 磁性体 | リードスイッチ | ||
フィードバック制御 | 光エネルギー | パルス信号 | ロータリーエンコーダ |
2.位置を検出するセンサの仕組み
続いて、前章でご紹介した各センサの仕組みについてご紹介します。
(1)シーケンス制御で選定されるセンサ
①接触式センサ
a.マイクロスイッチ、リミットスイッチ、コンタクトスイッチ
基本的な仕組みは、アクチュエータと呼ばれる可動部で、接点状態を切り替えます。この接点状態を電気信号によって検出する方式です。
これらのスイッチは、ある特定の位置に移動した状態を、検出したい場合によく用いられます。例えば、シリンダなどの前進端・後退端の位置検出や安全扉やカバーなどの開閉状態を検出するインターロック用途などです。
また、リミットスイッチは、マイクロスイッチを保護ケースに組み込んだもので耐環境性に優れた特徴を備えています。コンタクトスイッチは、プランジャと感圧センサを保護ケースに組み込んだもので、繰り返し精度が他の接触式センサより高く、耐環境にも優れた特徴を備えています。
②非接触式センサ
a.光電センサ
基本的な仕組みは、投光部から照射された光を受光部が感知します。この光を遮るなどで引き起こされる光量変化を、電気信号に変換して検出する方式です。
ある特定の位置に、検出対象が有るか無いかを検出したい場合によく用いられます。例えば、搬送中のワーク位置検出や、色による光量変化を応用してフィルムなどの検出用途などです。
b.近接センサ
基本的な仕組みは、検出コイルが発生させている磁界を検出回路で感知します。金属体の接近などで引き起こされる磁界の変化を、電気信号に変換して検出する方式です。
ある特定の位置に、検出対象が有るか無いかを検出したい場合によく用いられます。例えば、金属製のワーク検出や、干渉・接触防止の位置調整などです。
c.リードスイッチ
基本的な仕組みは、ガラス管内のリード片の復元力と磁気による接触で接点状態を切り替えます。この接点状態を電気信号によって検出する方式です。
ある特定の位置に移動した状態を、検出したい場合によく用いられます。例えば、エアシリンダなどの前進端・後退端の位置検出や液面のレベル検出などです。
(2)フィードバック制御で選定されるセンサ
①回転角度
a.ロータリーエンコーダ
基本的な仕組みは、スリット円板の回転による光の透過/遮断状態を感光素子が感知します。その感知した光の変化からエンコーダがパルス信号に変換を行い、現在値を検出する方式です。
回転制御を行いたい場合によく用いられます。例えば、モータ系の回転制御などです。
(3)選ぶときのポイント
センサを選ぶ時のポイントは、次に挙げる項目に注目して選びます。そこから生産現場ごとに細かい条件を詰めていくといいでしょう。
①検出条件
a.どのような用途で使いたいか
位置を検出できるセンサを使ってFA機器を自動制御したい場合、センサを利用して何を見たいのかがポイントになります。
- 物体の有無や到達点の検出をしたいのであれば、シーケンス制御用途のもの
- 制御対象を調整できるように検出対象の変化量を検出したいのであれば、フィードバック制御用途のもの
b.接触式か非接触か
検出したい対象(ワーク)に触れていいのか、触れてはいけないのかもポイントになります。
c.使用環境はどのようなところか
センサで検出したい場所が、液体や粉塵の飛散、温度や磁気といった環境の条件も重要です。また、センサの設置箇所が容易に交換できるのかもチェックすることをおすすめします。
②検出対象
センサを選ぶときは、検出したい対象(ワーク)の材質にも気を配らなければいけないポイントです。金属製や樹脂製、ゴム製といった材質による特性で使えるセンサ、使えないセンサが決まってきます。
また、色や表面形状によっても得意/不得意が分かれるので注意すると良いでしょう。
③検出距離
検出したい対象(ワーク)を、どこから検出したいのかもポイントになります。センサにはそれぞれ検出可能な距離が設定されているためです。
3.位置を検出できるセンサの導入事例
では、ここで、位置を検出できるセンサがどのように活用されているのか事例をご紹介します。
(1)接触式センサの導入例
タッチセンサ(コンタクトスイッチ)を利用した導入事例です。ステージの有無検出などに使用されています。
(2)非接触式センサの導入例
①光電センサ
こちらは光電センサを利用した導入事例です。対象物(ワーク)の検出に利用されています。
②近接センサ
こちらは近接センサを利用した導入事例です。検出対象の位置をモニタリングした予兆保全用途に利用されています。
③ロータリーエンコーダ
こちらはロータリーエンコーダを利用した導入事例です。サーボモータに組み込まれることで位置制御を可能にしています。
4.位置を検出するセンサを導入する上で相談したいメーカ2選
自社工場に適切なセンサを選ぶには、各センサの特徴を把握することが大切です。
しかし、今回ご紹介した位置を検出できるセンサの種類は、ほんの一部にすぎません。また、センサの推奨通りの環境だとしても、使用状況次第ですぐに故障してしまうといったこともありえます。
もし、位置を検出するセンサの導入に困った際には、以下のメーカに、まずは問い合わせるのもひとつでしょう。
(1)オムロン株式会社
オムロン株式会社は、健康医療機器の他にも工場の自動化を中心とした制御機器や電子部品などを取り扱っている企業です。
今回紹介したセンサ類を幅広く取り扱っており、様々なニーズに合わせたセンサを選ぶことが可能です。直近では、2020年10月に距離設定形光電センサTOFレーザセンサ E3AS-Fを発売しています。
- 住所:京都府京都市下京区塩小路通堀川東入 オムロン京都センタービル
- TEL:075-344-7000(本社)
- TEL:0120-919-066(制御機器・FAシステム問い合わせ用)
- お問い合わせフォーム:https://www.fa.omron.co.jp/contact/tech/
- URL:https://www.omron.com/jp/ja/
(2)株式会社キーエンス
株式会社キーエンスは、センサや制御機器の他にも計測機や3Dプリンタなども取り扱っている企業です。
今回紹介したセンサ類を幅広く取り扱っており、様々なニーズに合わせたセンサを選ぶことが可能です。直近では、カメラ内蔵レーザ変位センサIX-Hを販売しています。
- 住所:大阪府大阪市東淀川区東中島1-3-14
- TEL:06-6379-1111(本社)
- TEL:0120-100-470(各種問い合わせ用)
- URL:https://www.keyence.co.jp
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