プレス加工の基礎|特徴や種類、資格、製造のポイント、事例まとめ

プレス加工は、日本の製造業の基盤である自動車製造や精密電子機器の部品の生産などに利用されています。プレス加工では、さまざまな金型やプレス方式を組み合わせることで、自動車のフレームのような大型パーツだけでなく、微細な複雑形状製品の加工を行えます。

今回は、プレス加工の中でも、特に金属材料を加工する際に用いられる各種生産方式や作業の流れ、プレス加工を行う事業場で作業員が取得すべき資格やプレス加工機の種類などを紹介します。

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1.プレス加工とは何か?種類と具体的な作業の流れ

プレス加工は、主に金属素材の板材に力を加えて変形させることで、さまざまな製品を造り出す加工方法です。物質に力を加えて元に戻る性質を弾性と呼びますが、プレス加工は、力を加えた加工物が元に戻らない塑性という性質を持つことから、「塑性加工」とも呼ばれます。

(1)プレス加工の種類

プレス加工には5つの種類があり、材料をプレスするパンチや金型などを使用して、目的に応じたプレス加工品を製造しています。

①せん断加工

せん断力を利用して、対象物を分離する加工方式であり、「分離加工」や「抜き加工」としても知られています。半製品の一部に穴を空ける「穴抜き」や、絞り加工等を行った縁を目的の形状に抜き直す「トリミング」や、材料の外周の一部を切り抜く「カットオフ」など、さまざまな加工方法があります。

②曲げ加工

材料の特定箇所に凸形状のパンチをプレスして、折り曲げて変形させる加工です。1箇所を曲げる「V字型」や「L字型」、2箇所を曲げる「U字型」「Z字型」などのさまざまな曲げ形状があります。

③絞り加工

円筒形や角筒形、複雑な異形といったさまざまな金型に、平面の板材を押し付けて引き伸ばしていくことで、筒状の製品を造り出す加工法です。

④成形加工

曲げ加工や絞り加工と混同されることもありますが、厳密には異なるプレス加工が成形加工です。

直線に曲げる曲げ加工と違って曲線状に曲げる「フランジ成形」や、絞り加工に近いものの金型に大部分が接触しないまま加工を行う「張出し成形」、半製品の縁を小さく円弧状に加工する「カーリング」など、さまざまな複雑形状加工が可能です。

⑤圧縮加工

上記4つの加工のように、材料を引っ張ったり伸ばしたりすることで加工する方法と違い、圧縮応力によって材料を延ばす加工法です。

型枠に材料を入れて押し出しながら成形する「押出し加工」や、コインの凹凸文字のような形状を成形する「印圧加工(コイニング)」、反りや歪みなどを平面にする「ならし加工」など、さまざまな加工方法があります。

(2)プレス加工の作業の流れ

①製品・加工方法の確認

生産する製品の形状や加工方法について作業標準書などを使用して確認します。ここで、使用するプレス機械や金型、工具などについて事前に明確にしておくことで、前段取りをスムーズに進められます。

②前段取り

生産前の前段取りでは、主にプレス機の点検や金型や工具、材料を準備して、機械の条件設定や試し加工などを行います。前段取りが不十分だと、生産を行う際に工具が不足していることなどに気づき、歩留まりが低下します。前段取りでは、装置の始業前点検だけでなく、周囲も含めた作業環境の安全確認も重要です。

③プレス加工による生産実施

単工程手作業でプレス機を操作する場合は、加工する材料を所定の位置に設置してプレス加工を行い、製品の取り出しまでを人の手で行います。

順送加工やトランスファ加工といった自動化設備によってプレス加工を行う場合は、製造条件を設定した後に機械を作動させます。

生産作業中には、プレス機や金型の動作不良や製品の排出不良などの生産上の不具合監視を行います。目視だけでなく、音の変化や振動なども判断材料とします。自動生産の場合は、センサによってエラー検知を行います。

④後段取り

生産が終了したら金型の取り外しや摩耗点検、潤滑油の塗布などの後、清掃や使用後のプレス機を使用前の状態に戻します。次回の生産を効率的に開始するためにも、後段取りも作業標準書に沿って確実に実施しなければいけません。

(3)板金加工や鍛造加工との違い

金属を加工する工法には、金属プレス加工の他に板金加工や鍛造加工があります。

プレス加工は、金型を使用してプレス機などで圧縮するすることで金属を加工しますが、板金加工では、基本的には作業者が手動で金属加工を行います。手板金では、ハンマーなどで金属板を叩いて目的の形状に加工し、精密板金では機械を使いますが人の手でセッティングや加工を行います。

鍛造加工は、板金とは違って金属の塊を加工する工法であり、ハンマーで叩いて成形する「自由鍛造」と、型にはめて圧縮変形させる「型鍛造」があります。他にも、ブランクを加熱して軟化させてから加工する熱間鍛造があります。なお、常温で行う鍛造を冷間鍛造と呼びます。

いずれも、加工の中にプレスを用いる場合がありますが、厳密な加工方式が異なっています。

2.プレス加工に関する資格

プレス加工には、国家資格に該当する技能士などの資格が複数あり、事業場の規模等によっては取得が義務付けられている資格もあります。

(1)金属プレス加工技能士

金属材料を使用したプレス加工の技能士国家検定で、等級には1級と2級があります。この資格を所有していないと、技能士と名乗ることはできません。

金属プレス加工は、日本の基幹産業である自動車の製造などにも関連が深いため、活躍の場が広がります。試験は、学科試験と実技試験があるため、当然ですが作業の熟練度が要求されます。

(2)プレス機械作業主任者

プレス機械を5台以上使用する工場などで、プレス機の安全点検や異常措置、金型の調整など、労災防止のために作業者の指揮を行うために必要な資格です。プレス機械作業主任者技能講習を受講し、修了試験に合格することで資格が取得できます。

プレス機械を用いた加工作業経験が5年以上、もしくは厚労省が定めた条件を満たした人しか技能講習は受講できません。

(3)鍛造技能士(プレス型)

プレス加工の中でも鍛工品の製造技術に関する技能士検定です。学科試験とプレス型鍛造作業の実技試験が実施されます。等級は1級と2級があり、自由鍛造作業やハンマ型鍛造作業の技能検定もあります。

(4)工場板金技能士

工場での板金作業に関する国家技能士検定です。学科試験と実技試験があり、実技試験は工法別に以下の4つがあります。

  1. 曲げ板金
  2. 打出し板金
  3. 機械板金
  4. 数値制御タレットパンチプレス板金

工場板金技能士の等級は、管理・監督者レベルに相当する特級の他、曲げ板金のみが1〜3級、他の工法は1〜2級まであります。

3.プレス加工で生産される製品事例

プレス加工にはさまざまな方式があるため、方式の選択や組み合わせによって多様な品種の生産ができます。

(1)自動車

自動車のさまざまなパーツが、プレス加工によって製造されています。自動車には高い強度と剛性が求められているため、金属を加工した部品が多く使用されます。

パネル部分は、絞り加工と成形加工の張出し成形を組み合わせて造られているなど、プレス加工のそれぞれの特徴を活かしているのです。

(2)硬貨

硬貨も代表的なプレス加工製品です。アルミや銅などの板材から抜き加工によって円形に打ち抜き、圧縮加工の印圧加工によって、絵や数字などの凹凸形状を装飾しています。

(3)容器や台所のシンク

絞り加工によって造られる代表的な製品が、ボウルやコップなどの円筒形の金属製品です。また、台所のシンクやコンロの外装などの複雑な形状も、異形絞りの技術が活用されています。

4.プレス加工機の種類や特徴

プレス加工に使用するプレス機械は、圧力をかけながら加工するため、フレームには高い強度と剛性が必要です。また、プレス時に材料や金型を上下に動かすスライド駆動動力によっても、加工スピードなどが変わります。

(1)スライド駆動動力による分類

スライド駆動部には大きく3つの種類があり、生産性や加工できる製品にも違いがあります。

①機械プレス

機械式モータを使用して、スライド部分を苦労させる方式です。加工速度が速く生産性に優れますが、あまりストローク長が長い加工ができません。せん断加工や小さい製品の生産に向いています。

②液圧プレス

液圧シリンダーを用いて、液圧ポンプの調整で上下運動を制御する方式です。ストローク長が長く、加圧調整が容易という特徴があります。作動液の漏れなどにより、スライド制御不能による事故が発生する場合もあるので、安全装置の設置も必要です。

③サーボプレス

スライド駆動部に可変式のサーボモータを使用するプレス機械で、加工スピードや加圧力を機械設定によって変更できます。機械プレスや液圧プレスに比べて加工適用範囲が広く、条件しだいで歩留まりの向上も期待できます。

(2)フレーム形状による分類

プレス機械は、フレーム形状も加工様式や必要な圧力によってさまざまなものがあります。

①C形フレーム

最もオーソドックスなフレーム形状で、作業側が開口されたアルファベットのC形状になっています。

②ストレートサイドフレーム

四隅に支柱があり「門型フレーム」とも呼ばれます。自動化プレス機に使用されることが多く、大型のプレス加工や鍛造といった高加圧加工に使用されます。

③アンダードライブ用フレーム

下部駆動形式のプレス機械であるダイイングマシンに用いられるフレームで、上部にはスライド機構のみしかありません。

④アーチ形フレーム

現在ではほぼ使用されていませんが、抜き加工のポンチングプレス用の機械によく見られた形状です。

5.プレス加工機の導入におすすめのメーカ4選

(1)日本サポートシステム株式会社

日本サポートシステム株式会社は、取引実績400社以上、製造実績10,000台以上を誇る関東最大級のロボットシステムインテグレータです。工場設備・機械の設計・製造・納品を一貫して行っています。

  • 住所:茨城県土浦市卸町2丁目13-3
  • TEL:050-1743-0310
  • URL:https://jss1.jp/

(2)株式会社オフィスエフエイ・コム

株式会社オフィスエフエイ・コムは、PC及びPLCによるロボット等の自動制御システムソフトウェアを開発・販売している会社です。工作機械器具の設計・製造や自動化用ロボットの導入・保守まで対応。切り替えなしに多品種生産に対応できる自動化ラインの構築実績があります。

(3)日鉄テックスエンジ株式会社

日鉄テックスエンジ株式会社は、重量物や重筋作業の自動化や操業支援を得意としています。自動化設備を含むロボット導入実績は700台超。自動化や高速・高精度化などのユーザニーズに合わせて、設計から納入立上げまで対応しているのも特徴のひとつです。

(4)株式会社マクシス・シントー

株式会社マクシス・シントーには、FA設備の開発設計から製作設置までを50年以上対応してきた実績があります。3Dビジョンセンサーの開発も行っており、画像処理技術も有する会社です。宇宙機器用バルブ組立作業の自動化について事業可能性検証を実施しています。

6.製造業のWebマーケティングに関するご相談は株式会社ストラーツ

プレス加工の自動化を行うには、プレス加工機の選定から自動化システムの導入による生産性向上の事前検証が必要です。

しかし自社内だけで完結させるには、相応の時間を必要とします。また、評価に主観が入りやすい面もあるため注意しなければいけません。

導入に不安がある場合は、本文で紹介したようなサポートメーカに問い合わせ、二人三脚で進めることをおすすめします。

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