スピニング加工の仕組みや製品例|おすすめのマシンメーカ3社も紹介

スピニング加工は、へら絞り加工としても知られており、ロケットのペイロードフェアリングなど、プレス絞り加工に比べて複雑かつ大規模製品の加工に利用されています。大量製品には向かないものの、加工の自由度が高くコストが抑えられる点もメリットです。

今回は、スピニング加工の仕組みや加工手順、加工工程において注意すべき点について解説します。また、スピニング加工で製造されている代表的な製品例や、スピニングマシンを開発・製造している主要メーカをも紹介します。

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1.スピニング加工の基本と加工工程

「スピニング加工」は、旋盤などを用いて板状・円筒状の被加工材(被加工材)を高速回転させ、成形用の金型に「へら」や「ロール」で押し付けながら目標の形状に成形する、塑性加工方式の一つですします。

人の手でへらを押し当てながら加工する方式は、「へら絞り加工」とも呼ばれます。スピニング加工には、大きく2つの加工方式があります。

(1)スピニング加工の種類

①絞りスピニング

被加工材の板厚を一定に保ったまま、金型に沿って押し付け変形させるスピニング加工方式です。

②しごきスピニング

被加工材の外径は変化させずに、板厚のみを薄くしごいていくスピニング加工方式です。

(2)加工手順

①被加工材と金型の取付け

板状及び円筒形状の被加工材と成形用の金型を選定し、スピニングマシンの所定の位置に設置します。

②被加工材と金型を回転

被加工材を金型に接触させて固定しながら、両方ともを同速度・同方向に高速回転させます。

③加工ロール(へら)を押し付ける

高速回転させている被加工材の外側から、ローラーやへらを接触させながら金型に押し付けていき、少しずつ目標の形状に変形させていきます。

④仕上げ加工

製品の最終形態に仕上げるために、余ったはみ出し部分のバリ取りや底切り、設計図に沿って抜き加工などを行います。

(3)スピニング加工の製品事例

スピニング加工は、主に金属材料を円筒形状に加工する時に使用されるため、以下のようなさまざまな製品加工に使用されています。

  • 照明器具のシェード部分
  • パラボラアンテナ
  • 自動車のホイール
  • 調理器具(鍋やボウルなど)
  • ノズル
  • ボイラ用圧力容器
  • ロケットの先端部分(ペイロードフェアリング)

2.スピニング加工の特徴や加工時の注意点

(1)スピニング加工の特徴とプレス絞り加工との違い

スピニング加工は、成形品の形状を設計するにあたって、金型(成形型)のみの形状を変更すれば良く、消耗品も少ないためランニングコストを抑えながら多品種の製造が可能です。複雑な形状の加工も可能で、設備も成形品の形状やサイズに合わせて小規模から大規模まで対応できます。ただし、プレス加工のように同時に大量の製品を作成することはできません。

プレス絞り加工は、パンチを被加工材にプレスしながら金型の形状に成形加工させる方式です。同じ形状のものを大量生産するのには向いていますが、パンチと金型の組み合わせによって加工形状が変わるため、多品種製造にはコストがかかります。

(2)ロボット制御によるスピニング加工

人の手で行う「へら絞り加工」では、へらの当て方によって、プレス加工に比べて複雑な形状の加工も可能です。そのため、加工における自由度がある分、製品によっては職人の経験や勘による部分も少なからずあります。

しかし、機械加工を行うスピニング加工においても、ロボットの力学制御を用いて職人の動きを再現する試みが進んでいます。スピニング加工は、塑性加工の中でも加工に必要な力が小さくて済むため、(株)大東スピニングの「リニア・ロボスピン」のように、加工ローラの稼働速度や押し付け力をロボット制御で調整しながら加工する技術が開発されています。

(3)スピニング加工の注意点

スピニング加工では、高速回転させる被加工材に対して加工ローラやへらを接触させますが、加工時の圧力が不均一であれば座屈などの板厚バラつきが発生します。使用する工具の平坦性や加工ローラの回転数が重要なのはもちろん、固定軸の振動などの発生を抑制する必要があります。

また、ローラの軸方向への送り速度はそのまま製品の歩留まりに影響します。送り速度が早いほど加工速度は上がりますが、ロール痕や加工後の板厚の不均一といった欠陥が発生する可能性も高まるため、回転速度と送り速度のバランスも重要です。

3.スピニングマシンの仕組みと主要メーカ

ここでは、スピニング加工機の仕組みやスピニングマシンを製造するメーカと主力製品について紹介します。

(1)スピニング加工機の仕組み

スピニング加工機は、旋盤加工機と似たような構造をしており、大きな違いは、主軸部に金型を設置することと加工ローラがある点です。

スピニングマシンを用いた加工では、まず金型をマシンの主軸に設置して、心押し棒で被加工材を金型に固定させます。主軸をサーボモータ等を用いて回転させ、加工ローラを被加工材に押し当てながら軸方向に移動させます。この工程を数度繰り返して、最終的に金型に合わせた形状に成形加工します。

マシンによっては、加工ローラ以外の工具も取り付け可能な軸があり、バリ取りなどの仕上げ加工まで行うことができます。

(2)スピニング加工機メーカ

日本スピンドル製造株式会社

画像引用:日本スピンドル製造株式会社ホームページ

日本スピンドルは、紡績機械用のスピンドルリング生産から事業を開始した産業機械メーカです。

汎用スピニング加工機である「VF-T1000」は、絞り台に6種類のツールを取り付けてターレット旋回で容易に工具の交換ができます。ティーチング操作によって、熟練工でなくてもスピニング加工が実施でき、ティーチングデータを保存して次回生産に活用可能です。

また、NC制御によって自動運転が可能です。同シリーズのT500では、主軸の最大回転速度が3,000rpmで、絞り台の移動速度も8,000mm/minと高速加工が可能です。

株式会社大東スピニング

画像引用:株式会社大東スピニングホームページ

大東スピニングは、日本唯一のスピニングマシンの開発・製造を専門とするメーカです。

ティーチング式の汎用スピニングマシンである「DSPシリーズ」は、加工ローラにサーボモータを使用しており、早送り加工も可能です。ティーチング式のため操作が容易であり、大型の絞り加工が可能なT3000型など、用途に応じた機械選定が可能です。

また、同社ではリニアモータ駆動の「リニア・ロボスピン」を開発しており、加工ローラをロボット制御によって動作させることで、異形断面形状の加工にも対応しています。

株式会社富士機械工作所

画像引用:富士機械工作所ホームページ

鍛圧機の製造メーカとしてスタートした富士機械工作所では、単体機はもちろん製造ラインの作成まで対応しています。

同社のNCコントロールスピニング加工機は、絞り加工の他、切断やバリ取りといった仕上げ加工までを一度のチャッキングで実施できます。加工ローラにはサーボモータを使用しており、4軸制御まで可能です。トンネル溶接装置と組み合わせるなど、顧客の要望に対応したオーダーメイド機の制作も請け負っています。

4.スピニングマシンの導入におすすめのメーカ3選

スピニング加工をはじめとした金属機械加工を自動化するには、ライン全体の設計はもちろん、加工材の位置決めや搬送速度なども見込んだ、機械の配置や組み合わせが重要になります。

金属機械加工の機器選定はもちろん、効率的な加工ライン設計でお悩みの方は、以下のサポートメーカに相談されるといいでしょう。

(1)日本サポートシステム株式会社

日本サポートシステム株式会社は、取引実績400社以上、製造実績10,000台以上を誇る関東最大級のロボットシステムインテグレータです。工場設備・機械の設計・製造・納品を一貫して行っています。

  • 住所:茨城県土浦市卸町2丁目13-3
  • TEL:050-1743-0310
  • URL:https://jss1.jp/

(2)ジェイティ エンジニアリング株式会社

ジェイティ エンジニアリング株式会社は、JTグループのエンジニアリング部門として生産設備の開発や導入サポ-トを実施しています。工場の改築やライン増築はもちろん、工場の自動化や遠隔監視制御にも対応。自動化に際してのコンサルティングや技術指導サービスを実施しているのも特徴です。

(3)トライエンジニアリング株式会社

トライエンジニアリング株式会社は、1991年に世界で初めてRHS(ロボットへミングシステム)の開発に成功した会社です。ロボットによる自動化システムの製品開発や販売を行うSI総合メーカとしても知られています。RHSの開発経験を活かした各種金属加工の自動化にも対応が可能です。

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